犬の涙やけとは?原因・食事・ケアを網羅した完全ガイド

犬の涙やけとは?原因・食事・ケアを網羅した完全ガイド
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愛犬のつぶらな瞳の下に広がる赤茶色の変色、気になりますよね。

「毎日顔を拭いているのにきれいにならない」「涙やけとは犬の体質なのか、それとも病気なのか」と不安を感じている飼い主さんは少なくありません。

実はこの現象、単なる汚れではなく、涙の通り道に関するトラブルや食事内容、日々のケア方法など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生しているのです。

適切な対策を行うためには、まずはそのメカニズムを正しく理解し、愛犬に合った改善策を見つけていく必要があります。

この記事を読むと分かること
  • 涙やけが発生する科学的なメカニズムと主な原因
  • 食事やアレルギーが涙の量や質に与える影響
  • 自宅ですぐに実践できる正しい拭き取りケアの方法
  • 動物病院での治療が必要となる危険なサインの見極め
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犬の涙やけとは?原因とメカニズム解説

犬の涙やけとは?原因とメカニズム解説

愛犬の顔を見たとき、目の下が濡れていたり変色していたりすると心配になるものです。

まずは、なぜ涙が溢れ出し、被毛が変色してしまうのか、その基本的な仕組みと背景にある原因について、順を追って見ていきましょう。

涙やけの原因となる流涙症とポルフィリン

涙やけの根本的な原因は、眼球から涙が溢れ出してしまう「流涙症(りゅうるいしょう)」と呼ばれる状態にあります。

本来、涙は目を潤したあと、目頭にある「涙点」という小さな穴から鼻涙管を通って鼻の中へ排泄されます。

しかし、この排出ルートが詰まったり、涙の量が多すぎたりすると、涙が行き場を失って目の外へと溢れ出してしまうのです。

では、なぜ溢れた涙が毛を赤茶色に染めてしまうのでしょうか。

それは、犬の涙に含まれる「ポルフィリン」という成分が関係しています。

ポルフィリンは鉄分を含んだ成分で、光や空気に触れて酸化すると赤錆のような色に変化する性質を持っています。

つまり、常に涙で濡れている被毛は、この酸化反応によって着色汚れが定着してしまうというわけです。

涙やけの臭いや菌の繁殖はどう防ぐ?

涙やけに悩む多くの飼い主さんが、「目の下が酸っぱい臭いがする」「生乾きのような臭いが取れない」と感じています。

これは、湿った状態が長時間続くことで、皮膚の常在菌バランスが崩れていることが大きな要因と考えられます。

特に、湿気を好む酵母菌の一種である「マラセチア」やブドウ球菌などが過剰に増殖すると、皮膚炎を引き起こすだけでなく、独特の不快な臭いを発生させます。

変色だけでなく皮膚が赤くただれている場合は、細菌や真菌による感染が起きている可能性が高いため、単に拭き取るだけでなく、菌の繁殖を抑える環境づくりが不可欠です。

食べ物やアレルギーが影響する理由

「ドッグフードを変えたら涙やけが良くなった」という話を耳にしたことはないでしょうか。

これは決して迷信ではなく、食事内容が涙の「質」や「量」に直接影響を与えているためです。

例えば、消化しにくいタンパク質や添加物の多い食事を続けていると、体内で消化吸収されなかった老廃物が蓄積しやすくなります。

東洋医学的な観点なども含め、こうした老廃物が涙の粘度を高め、ドロドロとした涙が鼻涙管を詰まらせる原因の一つになると考えられています。

また、食物アレルギーがある場合、アレルギー反応として目の結膜が炎症を起こし、涙の分泌量が過剰になることも珍しくありません。

トイプードルやチワワに多い傾向と特徴

涙やけはどの犬種にも起こり得ますが、特にトイプードル、チワワ、マルチーズ、パグなどの犬種で多く見られます。

これには、それぞれの犬種が持つ解剖学的な特徴が大きく関係しています。

トイプードルは生まれつき鼻涙管が狭い、あるいは閉塞している個体が多く見られます。

また、チワワなどの短頭種に近い骨格を持つ犬は、目が大きく突出しているため乾燥しやすく、防御反応として涙が多く出る傾向があります。

さらに、鼻が短い犬種は鼻涙管の構造が複雑に曲がりくねっていることが多く、物理的に涙が流れにくいというハンディキャップを抱えていると言えますね。

涙やけは病気のサイン?病院受診の目安

涙やけは単なる美容上の問題と思われがちですが、中には治療が必要な目の病気が隠れていることもあります。

例えば、「逆さまつげ」が角膜を刺激していたり、結膜炎や角膜炎による痛みで涙が止まらなくなっていたりするケースです。

もし愛犬が頻繁に目をこする、目が充血している、目を開けにくそうにしているといった様子が見られる場合は、病気が原因である可能性が高いと考えられます。

また、急激に涙の量が増えた場合も注意が必要です。

自己判断でケアを続ける前に、一度獣医師による診察を受け、角膜や眼球に異常がないかを確認することをおすすめします。

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犬の涙やけとはこう治す!対策とケア

犬の涙やけとはこう治す!対策とケア

原因がわかったところで、次は具体的な対策について解説します。

自宅で日々の習慣として取り入れられるケアから、フードの見直し、そして動物病院での専門的な治療まで、愛犬の状態に合わせた解決策を探っていきましょう。

自宅でできる涙やけの正しい治し方

家庭でのケアで最も重要なのは、「酸化する前に拭き取る」ことと「目の周りを清潔に保つ」ことの2点です。

すでに茶色く変色してしまった毛を真っ白に戻すことは難しいため、新しく生えてくる毛を変色させない予防的なケアが中心となります。

こまめな拭き取りは基本中の基本ですが、ゴシゴシと力を入れて擦るのは逆効果です。

皮膚を傷つけてしまうと、炎症が起きてさらに涙が増えてしまいます。

柔らかいコットンやガーゼを使い、優しく吸い取るようにケアをしてあげましょう。

特に子犬の頃から顔を触られることに慣れさせておくと、成犬になってからのケアがスムーズになります。

ホウ酸水を使った効果的な拭き取り手順

頑固な涙やけや雑菌の繁殖が気になる場合、精製水にホウ酸を溶かした「ホウ酸水」でのケアが有効なことがあります。

ホウ酸には殺菌作用があり、目の周りの雑菌の繁殖を抑える効果が期待できるからです。

作り方は簡単で、精製水150mlに対し、ホウ酸(粉末)を3g溶かすだけです(濃度2%以下)。

これをコットンにたっぷり含ませて、汚れた部分を優しくパックするように拭き取ります。

ただし、ホウ酸は飲み込むと中毒を起こす危険性があるため、愛犬が舐めないように注意し、作り置きは冷蔵庫で保管して2週間以内に使い切るようにしましょう。

目の周りに傷がある場合は使用を避けてください。

マッサージで鼻涙管の詰まりをケア

鼻涙管が老廃物や粘液で詰まっていることが原因の「閉塞性流涙症」の場合、目元のマッサージによって通りを良くできる可能性があります。

まず、人肌程度に温めた蒸しタオル(ホットタオル)を目元に乗せ、数秒間温めて固まった分泌物を柔らかくします。

その後、目頭の下あたり(鼻涙管が通っている場所)を指の腹で優しく揉むようにマッサージします。

これにより血行が促進され、詰まりの解消を促すことができます。

ただし、目が充血しているときや痛がっているときは炎症を悪化させる恐れがあるため、控えてください。

涙やけ対策におすすめのドッグフード選び

食事による体質改善を目指すなら、「高消化性」「低アレルゲン」「無添加」をキーワードにフードを選んでみましょう。

消化吸収が良い良質な動物性タンパク質(サーモン、ラム、鹿肉など)を主原料としたフードは、体内の老廃物を減らす助けになります。

また、腸内環境を整えるプロバイオティクス(乳酸菌など)が含まれているものや、抗酸化作用のある成分が配合されたフードもおすすめです。

フードの切り替えは急に行わず、1〜2週間かけて徐々に新しいものに移行し、最低でも2〜3ヶ月は継続して様子を見るのが良いでしょう。

目薬や手術など獣医による治療法

家庭でのケアや食事療法で改善が見られない場合、あるいは先天的な構造異常が原因の場合は、獣医学的な介入が必要です。

動物病院では、詰まった鼻涙管を生理食塩水で洗浄する「鼻涙管洗浄」や、感染症を抑える抗生物質の点眼薬などが処方されます。

さらに、まぶたが内側に巻き込まれている眼瞼内反症や、鼻涙管の開口部が閉塞しているケースでは、外科手術が検討されることもあります。

費用や全身麻酔のリスクも伴うため、獣医師とよく相談し、愛犬にとって最適な治療法を選択することが大切です。

まとめ:犬の涙やけとは継続ケアが鍵

まとめ:犬の涙やけとは継続ケアが鍵

犬の涙やけは、一朝一夕で劇的に治るものではありません。

しかし、流涙症の原因を正しく理解し、食事の見直しや日々の丁寧なケアを積み重ねることで、確実に改善へと向かわせることは可能です。

涙やけは愛犬からの「体のサイン」でもあります。

見た目の美しさだけでなく、健康状態全体を見直す良い機会と捉え、根気強く向き合っていきましょう。

飼い主さんの愛情のこもったケアが、愛犬の輝く瞳を守る一番の特効薬になるはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断に代わるものではありません。症状が気になる場合は、必ず獣医師にご相談ください。

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