ドッグフードを切らしたときは、健康な成犬であれば、味付けせず十分に加熱した肉・魚・卵と、ご飯やいも類、犬が食べられる野菜を組み合わせて、1~2食程度を一時的に代用できます。ただし、家庭にある食材だけでは犬に必要な栄養を長期的に満たせません。犬に有害な食材を避け、できるだけ早く対象年齢に合う総合栄養食へ戻しましょう。
気になる動物・ペット情報を探す
犬・猫を中心に、食事、健康、しつけ、品種、暮らし、野生動物などの情報をテーマ別にまとめています。
ペット・動物ガイドを見る →
- 一時的な代用に使いやすい食材
- 組み合わせ方と与える量の考え方
- 犬に与えてはいけない食べ物
- 通常のドッグフードへ安全に戻す方法
まず確認すること
ドッグフードがないと分かったら、家の食材を与える前に、犬の年齢、健康状態、食物アレルギーを確認します。一時的な家庭食で対応できない犬もいます。
健康な成犬か
この記事の代用品は、持病がなく、普段は総合栄養食を食べている健康な成犬が、やむを得ず1~2食をつなぐ場合の考え方です。次の犬は自己判断で代用せず、動物病院や主治医へ電話してください。
- 離乳期や成長期の子犬
- 超小型犬や低血糖を起こしたことがある犬
- 妊娠中・授乳中の犬
- 高齢で食欲や体調が安定しない犬
- 腎臓病、肝臓病、心臓病、膵炎、糖尿病、尿路疾患がある犬
- 食物アレルギーの除去食試験中の犬
- 療法食を指示されている犬
療法食は、たんぱく質、脂質、リン、ナトリウム、糖質、ミネラルなどを病気に合わせて調整しています。一般的な鶏肉とご飯へ替えるだけでも治療計画に影響する可能性があります。
本当に食事を代用する必要があるか
次の食事まで数時間で、健康な成犬が元気なら、慌てて高脂肪な人の料理を与えるより、適切なフードを入手してから通常どおり与えるほうが安全なこともあります。ただし、犬の年齢、体格、持病によって絶食への耐性は異なります。
子犬、糖尿病治療中、体重が非常に軽い犬、体調不良の犬を自己判断で食事抜きにしないでください。食べない状態がすでに続いている場合は、「フードが切れた」問題ではなく、病気の可能性を考えます。
アレルギー歴を確認する
普段食べたことがあり、問題がなかった食材を優先します。鶏肉に反応したことがある犬へ鶏むね肉を与える、除去食中の犬へ卵を足すなどは避けます。
新しい食材を何種類も同時に試すと、下痢やかゆみが出たときに原因を判断できません。代用は少ない種類で、加熱した単純な食材にします。
代用しやすい食材
基本は、味付けのない加熱済みのたんぱく源と、消化しやすい炭水化物を少量ずつ組み合わせます。油、塩、調味料は加えません。
加熱した鶏肉
皮、目立つ脂、骨を完全に取り除いた鶏むね肉やささみは、一時的なたんぱく源として使いやすい食材です。中心まで十分に加熱し、犬が飲み込める大きさにほぐします。
唐揚げ、焼き鳥、フライドチキン、ローストチキンなど味付け済みの料理は代用になりません。衣、油、塩、たれ、香辛料のほか、タマネギやニンニクが使われている可能性があります。加熱した鶏の骨は割れて鋭くなり、口や消化管を傷つけるため与えません。
加熱した赤身肉
脂の少ない牛肉や豚肉も、過去に問題なく食べている犬なら使えます。脂身を除き、油を使わず中心まで加熱します。ひき肉は脂質が高い商品があるため、赤身割合を確認し、出た脂を取り除きます。
ハム、ベーコン、ソーセージ、サラミは塩分と脂質が高く、タマネギやニンニクなどの調味料を含む場合があります。代用品として選ばないでください。
骨を除いた魚
味付けしていない白身魚やサーモンを、骨を完全に取り除いて加熱します。缶詰を使うなら、食塩や油を加えていない水煮を選び、原材料を確認します。
塩鮭、干物、みりん干し、味付き缶、燻製は塩分や調味料が多いため不向きです。生魚は寄生虫・細菌のリスクがあり、魚種によって骨も危険なので、緊急代用では加熱します。
加熱した卵
卵は、ゆで卵や油を使わない炒り卵として十分に加熱し、殻を除いて少量与えます。塩、バター、牛乳、チーズなどを加えません。
卵だけでは長期の主食になりません。卵アレルギーが疑われる犬、脂質制限中の犬、獣医師から食材を指定されている犬には与えないでください。
白いご飯
味付けしていない柔らかい白米は、一時的なエネルギー源として使えます。炊き込みご飯、チャーハン、酢飯、おにぎりの具入りは避けます。玄米や雑穀米は食物繊維が多く、普段食べていない犬では消化器症状が出ることがあるため、緊急時は白米が無難です。
白米だけでは、たんぱく質、脂肪酸、ビタミン、ミネラルが不足します。「お腹に優しそう」という理由で何日も白米だけを与えないでください。
じゃがいも・さつまいも
十分に加熱し、皮や芽、傷んだ部分を除き、味付けせずつぶして少量与えます。じゃがいもの芽や緑色の部分には有害成分が多く含まれるため使いません。生のじゃがいもも避けます。
さつまいもは食物繊維が多く、大量に与えるとおなら、軟便、下痢につながることがあります。砂糖やバターを使ったスイートポテト、大学いも、いも菓子は代用品になりません。
かぼちゃ
種と硬い皮を除き、柔らかく加熱したかぼちゃを少量混ぜられます。味付けされていない冷凍かぼちゃや、原材料がかぼちゃだけのペーストは便利です。
かぼちゃの煮物、スープ、パイ用フィリングには砂糖、塩、乳製品、タマネギ、香辛料などが入ることがあります。人用の完成料理ではなく、単一食材を使います。
犬が食べられる野菜
ニンジン、いんげん、ブロッコリーなどを柔らかく加熱し、細かくして少量加えられます。野菜は補助であり、食事の大部分を占めさせません。
野菜炒め、コンソメスープ、カレー、シチューなどから具だけを取り出しても、タマネギや調味料の成分が移っています。犬用に別鍋で味付けせず調理してください。
一時食の組み立て方
短期代用は完璧な栄養設計ではありませんが、肉だけ、ご飯だけに偏らせず、普段問題なく食べる食材を組み合わせます。
基本の組み合わせ
一例は、加熱した脂の少ない肉や魚と、柔らかい白米やいも類です。野菜は少量にします。見た目の目安として、たんぱく源と炭水化物を同程度から始め、犬の消化状態に応じて調整します。
ただし、これは長期の栄養レシピではありません。犬の必要エネルギー、年齢、体格により適量は大きく異なり、カルシウム、必須脂肪酸、微量ミネラル、ビタミンなどを十分に満たせないためです。
具体例
- ゆでてほぐした鶏むね肉+柔らかい白米
- 加熱して骨を除いた白身魚+白米
- 油を使わず加熱した赤身肉+柔らかいじゃがいも
- 加熱卵+白米+少量のかぼちゃ
すべて味付けなしが前提です。犬がこれまで食べたことのない食材を複数組み合わせないでください。
最初は少量から
人の食材は水分量やカロリー密度がドッグフードと違います。いつものドライフードと同じ重量を与えても、同じカロリーにはなりません。
まず普段の1食より少なめを与え、食後数時間の嘔吐、下痢、腹痛、かゆみを観察します。足りないように見えても、一度に大量に足しません。小分けにしたほうが胃腸への負担を抑えやすくなります。
水分を確保する
常に新鮮な水を用意します。家庭食はドライフードより水分が多いことがありますが、飲み水が不要になるわけではありません。水も飲めない、飲んでも吐く場合は緊急性があります。
代用食へサプリメントを自己判断で追加しないでください。カルシウムやビタミンは、多ければ安全というものではありません。
与えてはいけない食べ物
犬にとって有害な食べ物は、加熱しても安全にならないものがあります。「少しなら大丈夫」と試さず、料理の原材料や調味料まで確認してください。
タマネギ・ネギ・ニンニク
タマネギ、長ネギ、ニラ、ニンニク、チャイブなどのネギ属植物は、犬の赤血球を傷つけ、貧血を引き起こす可能性があります。生、加熱、乾燥、粉末を問わず避けます。
ハンバーグ、餃子、カレー、シチュー、スープ、ベビーフード、コンソメ、ソース類には、目に見えない粉末やエキスとして含まれることがあります。具を取り除いても煮汁に成分が移っているため与えません。
ブドウ・レーズン
ブドウ、レーズン、干しブドウを含むパンや菓子は、犬に急性腎障害を起こす可能性があります。安全量を家庭で判断できないため、一粒でも食べた可能性があれば、症状を待たず動物病院へ連絡します。
ブドウジュース、レーズンパン、フルーツケーキ、グラノーラにも注意してください。
キシリトール
キシリトールは犬で急激な低血糖を起こし、摂取量によっては肝障害につながります。シュガーレスガム、キャンディ、歯みがき製品、口腔ケア用品、サプリメント、焼き菓子、一部のピーナッツバターなどに入ることがあります。
「無糖」「砂糖不使用」だけで安全とは限りません。原材料にキシリトールがあれば絶対に与えず、誤食した場合はすぐ動物病院へ連絡します。
チョコレート・カカオ・カフェイン
チョコレートとカカオは、テオブロミンやカフェインにより中毒を起こします。カカオ濃度の高い製菓用チョコやダークチョコは特に危険ですが、種類に関係なく避けます。
コーヒー、茶葉、エナジードリンク、カフェイン入りサプリメントも与えません。誤食時は、商品の種類、カカオ濃度、量、犬の体重を伝えて相談します。
アルコールと生のパン生地
酒、アルコール入り菓子、発酵中の生パン生地は危険です。アルコールは神経や呼吸に影響し、生の酵母生地は胃の中で膨らみ、アルコールも生じる可能性があります。
マカダミアナッツ
マカダミアナッツは犬で脱力、ふらつき、嘔吐、震え、体温上昇などを起こすことがあります。チョコがけ製品は複数の危険が重なるため、特に注意します。
骨・串・芯・種
鶏や魚の骨、竹串、トウモロコシの芯、果物の硬い種は、中毒物質でなくても窒息、歯の破折、消化管の傷、閉塞を起こす可能性があります。肉を外した後の骨や串も犬が届かないふた付き容器へ捨てます。
高脂肪・高塩分の料理
揚げ物、脂身、ベーコン、ソーセージ、バターや生クリームの多い料理は、嘔吐や下痢のほか、膵炎のリスクになります。漬物、加工肉、スープ、スナック菓子など高塩分食品も代用にしません。
誤食したときの対応
毒性のある食べ物は、症状が出てからでは治療が遅れる場合があります。食べた可能性が分かった時点で行動します。
情報を集める
次をメモし、包装を持って動物病院へ連絡します。
- 食べた商品・食材名
- 原材料表示と濃度
- 推定量
- 食べた時刻
- 犬の体重、年齢、持病
- 現在の症状
量が分からない場合も、食べた可能性をそのまま伝えます。キシリトール、ブドウ、レーズン、チョコレート、タマネギ類などは、症状がなくても相談してください。
自己判断で処置しない
牛乳を飲ませる、油を飲ませる、大量の水を飲ませる、指を入れて吐かせるなどは行いません。誤食物によっては吐かせること自体が危険で、処置可能な時間も異なります。
夜間なら、かかりつけ医の留守番電話、地域の夜間救急、動物中毒相談窓口などへ連絡します。移動中も、意識、呼吸、けいれん、嘔吐の変化を観察します。
代用品に向かないもの
毒ではなくても、ドッグフードの代わりに適さない食品があります。
牛乳と乳製品
犬によっては乳糖を十分に消化できず、牛乳で下痢やおならが出ます。チーズは塩分と脂質が高く、1食の代わりにはなりません。普段少量を問題なく食べていても、主食量を与えないでください。
キャットフード
健康な犬が猫用フードを少量誤食しただけなら大きな問題にならないこともありますが、猫用は犬用と栄養設計が異なります。脂質やカロリーが高い製品もあり、犬の長期主食にはできません。
どうしても他に安全な食材がなく、健康な成犬へ1食だけ使えるか迷う場合も、持病や製品成分を含め動物病院へ相談するのが安全です。
おやつだけ
犬用おやつでも、総合栄養食でなければ主食の代わりにはなりません。ジャーキー、ビスケット、ガムだけを大量に与えると、脂質、塩分、カロリーが過剰になり、必要栄養素は不足します。
人用の栄養食・ベビーフード
人用の完全栄養食は犬用に設計されていません。ベビーフードにはタマネギや調味料が含まれるものがあります。原材料が単一で安全と確認できるものを少量利用する場合を除き、安易に代用しません。
通常食へ戻す方法
代用が1食だけで、犬の便と食欲に問題がなければ、次の食事から通常のフードへ戻せることがあります。2日以上家庭食が続いた、お腹が敏感、代用中に便が変わった場合は、数日かけて戻すほうが安全です。
段階的に戻す
- 最初は通常フードを25%、代用食を75%にする
- 便に問題がなければ半量ずつにする
- 次に通常フードを75%へ増やす
- 問題がなければ通常フード100%へ戻す
割合は目安です。下痢や嘔吐が出たら前の段階へ戻すか中止し、長引く場合は受診します。
家庭食をトッピングとして残さない
代用食を気に入ってドッグフードを待つようになっても、毎回大量に混ぜ続けないでください。トッピングが1日のカロリーの大部分になると、総合栄養食の栄養バランスを崩します。
補助的に続けるなら、味付けなしの安全な食材を1日の総カロリーの10%以内に収めることを一つの目安にし、肥満や持病がある犬は主治医に確認します。
長期の手作り食は別設計
犬の手作り食を長期の主食にする場合、肉とご飯と野菜を見た目よく盛るだけでは不十分です。カルシウムとリン、必須脂肪酸、亜鉛、銅、ヨウ素、ビタミンD・Eなどが不足または過剰になる可能性があります。
子犬では栄養の偏りが骨格形成へ影響し、成犬でも長期的な欠乏は皮膚、被毛、筋肉、臓器に影響します。インターネットの一般レシピではなく、愛犬の体重、年齢、活動量、病気に合わせ、獣医栄養学の知識を持つ獣医師に設計してもらいます。
市販食へ不安がある場合は、原材料だけでなく、総合栄養食表示、メーカーの品質管理、栄養専門家の関与、問い合わせ体制を確認してください。
次回に備える方法
フード切れを防ぐには、普段から余裕を持って在庫を管理します。
- 未開封の小袋を1つ予備にする
- 通販の配送日をカレンダーへ登録する
- 残量が1~2週間分になったら注文する
- 災害用に少なくとも数日分を備蓄する
- 予備は賞味期限の古いものから使い、買い足して循環する
- 療法食は入手先と休日の連絡先を確認する
備蓄には、愛犬が普段から食べているフードを使います。非常時に初めて別ブランドや缶詰を与えると、食べない、下痢をする可能性があります。ウェットフードを備蓄するなら、普段から時々食べて慣らしておきます。
代用ご飯のよくある質問
- 白いご飯だけでも1食なら大丈夫ですか?
-
健康な成犬が少量を1回食べる程度で直ちに栄養欠乏になるとは考えにくいものの、白米だけではたんぱく質や多くの栄養素が不足します。可能なら味付けせず加熱した肉・魚・卵を組み合わせ、短期で総合栄養食へ戻してください。
- コンビニで買える代用品はありますか?
-
原材料が単純なゆで卵、味付け前提でない白米、食塩不使用の魚水煮などが候補ですが、商品ごとに塩、調味料、タマネギ、キシリトールの有無を確認します。サラダチキンは塩分や調味料が入るため一般には避けます。
- 鶏むね肉とご飯は何日まで与えられますか?
-
緊急の1~2食程度にとどめます。数日以上の主食にすると、カルシウム、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどが不足します。フードの入手が難しい場合は動物病院へ相談してください。
- ドッグフードを食べないので代用食を続けてもよいですか?
-
急な食欲低下は病気の可能性があります。家庭食だけ食べる場合も、口腔痛や吐き気を隠していることがあります。食べない状態が続く、元気がない、吐く、体重が減る場合は受診してください。
- 有害食材を少し食べたら様子見でよいですか?
-
食材と量により緊急性が異なり、ブドウ、レーズン、キシリトールなどは安全量を家庭で判断できません。症状を待たず、商品包装と犬の体重を確認して動物病院へ連絡します。
まとめ
ドッグフードを切らしたときは、健康な成犬に限り、味付けせず十分に加熱した脂の少ない肉・魚・卵と、白米やいも類を組み合わせて、1~2食を一時的に代用できます。最初は少量にし、新鮮な水を用意し、嘔吐や下痢がないか観察します。
タマネギ、ニンニク、ブドウ、レーズン、キシリトール、チョコレート、カフェイン、アルコール、マカダミアナッツは避けます。骨、串、トウモロコシの芯、高脂肪・高塩分の料理も危険です。誤食した場合は自宅で吐かせず、すぐ動物病院へ連絡してください。
家庭食は長期の主食として栄養が不十分です。できるだけ早く対象年齢に合う総合栄養食へ戻し、必要なら数日かけて切り替えます。子犬、持病のある犬、療法食中の犬では、代用品を与える前に主治医へ相談しましょう。

