愛猫たちが楽しそうに追いかけっこをする姿は微笑ましいものですが、時には取っ組み合いに発展し、シャーと威嚇し合うこともあります。
猫同士の追いかけっこにはどのような意味があるのでしょうか。
その行動が仲良しのじゃれあいなのか、それとも仲が悪いゆえの喧嘩なのか、飼い主としては見極めが難しいと感じる場面も多いはずです。
例えば、追いかけっこの最中に猫がお腹を見せたり、ゴロンと寝転ぶ姿を見せたかと思えば、次の瞬間には一方が必死に逃げることもあります。
また、じゃれあいの中で首を噛む、しっぽが膨らむといった行動は、猫同士の仲良し度を測る上で重要なサインです。
特に、先住猫と新入り猫が仲良くなったサインはどこで見分ければ良いのか、多くの飼い主が悩むポイントでしょう。
猫同士の相性が悪いとどんな行動をとるのか、逆にくっついて寝るほど仲が良いのか、その境界線はどこにあるのでしょうか。
さらに、猫同士がじゃれあうときにシャーと鳴くのはなぜなのか、猫同士が一緒に寝るのは本当に仲が良いからなのか、そして追いかけっこがエスカレートした時に人間はどう関わるべきか、疑問は尽きません。
この記事では、猫同士の追いかけっこが持つ様々な意味を解き明かし、それが遊びなのか本気の喧嘩なのかを見分ける具体的なポイントを詳しく解説します。
- 猫の追いかけっこが「遊び」か「喧嘩」かを見分ける方法
- 猫が見せる様々な行動(お腹を見せる、首を噛む等)の心理
- 猫同士の仲の良し悪しを判断するための具体的なサイン
- 追いかけっこが激しくなった際の飼い主の適切な対応
猫同士の追いかけっこの意味は遊び?喧嘩?

- 取っ組み合いや首を噛むのはじゃれあい?
- 追いかけっこでお腹見せる・寝転ぶ心理
- シャーと威嚇し、しっぽが膨らむのは本気?
- 一方的に逃げるのは相性が悪いサインかも
取っ組み合いや首を噛むのはじゃれあい?

猫同士がプロレスのように取っ組み合いをしたり、相手の首元に噛みついたりする光景は、飼い主を心配させるかもしれません。
しかし、これらの行動の多くは、猫にとって重要な意味を持つ「じゃれあい」の一環であることがほとんどです。
猫は本来、狩りをして生活する動物であり、その本能を発散させるために遊びを通じた模擬戦闘を行います。
取っ組み合いは、相手との力関係を確認したり、狩りの技術を磨いたりするための大切なコミュニケーションです。
特に子猫や若い猫によく見られ、社会性を身につけるための重要なプロセスとなります。
相手の首を軽く噛む行動も、じゃれあいの範囲内で行われることが多く、これは「プレイバイティング(遊び噛み)」と呼ばれます。
母猫が子猫を運ぶ際に首を咥えるように、猫にとって首を噛む行為は特別な意味を持ちます。
じゃれあいの中では、相手に怪我をさせないよう力加減を調整するのが一般的です。
もし噛まれた方が「キャン」と鳴いたり本気で嫌がったりすれば、噛んだ方も遊びを中断することが多く、こうしたやり取りを通じてお互いの許容範囲を学んでいきます。
ただし、注意も必要です。
遊びがエスカレートし、一方が本気で嫌がっているにもかかわらず、もう一方が執拗に攻撃を続ける場合は、単なるじゃれあいからいじめや喧嘩に発展している可能性があります。
これらのことから、取っ組み合いや首を噛む行動は基本的には健全な遊びですが、両者の力関係や反応を注意深く観察することが大切です。
追いかけっこでお腹見せる・寝転ぶ心理

追いかけっこの最中に、突然片方の猫がゴロンと仰向けに寝転び、お腹を見せることがあります。
この行動は、相手に対する信頼と遊びへの誘いのサインと考えられます。
猫にとってお腹は、内臓を守る骨がなく、非常にデリケートな急所です。
その急所を無防備にさらけ出すという行為は、相手に対して「あなたを信頼しています」「敵意はありません」というメッセージを伝えています。
追いかけっこで追われる立場になった猫がお腹を見せるのは、「降参」のポーズであると同時に、「ちょっと休憩しよう」「さあ、ここからプロレスごっこをしようよ」と、遊びの次の展開を促しているのです。
また、この行動は相手への甘えや、もっと構ってほしいという気持ちの表れでもあります。
飼い主に対してお腹を見せるのと同じように、心を許した仲間に対してリラックスした状態を示しているわけです。
追いかける側も、相手がお腹を見せたら攻撃の手を緩め、じゃれ合いの様相が変わることが多いです。
このように、追いかけっこの中でお腹を見せたり寝転んだりする行動は、二匹の関係が良好である証拠と言えます。
一方的な攻撃ではなく、お互いが遊びを楽しんでいるからこそ見られる、信頼に基づいたコミュニケーションの一つなのです。
もし愛猫たちがこのような行動を見せたら、それは二匹が仲良く遊んでいるサインとして、安心して見守ってあげてよいでしょう。
シャーと威嚇し、しっぽが膨らむのは本気?

猫のじゃれあいが盛り上がってくると、「シャー!」という威嚇の声が聞こえたり、しっぽがタヌキのようにボワッと膨らんだりすることがあります。
これらのサインは本気の怒りや恐怖を示している場合もあるため、飼い主としては見極めが肝心です。
「シャー」という声は、猫が相手に対して「それ以上近づかないで」「やめてほしい」という気持ちを表す警告音です。
じゃれあいの中では、遊びが少しエスカレートしすぎた時や、自分のペースではないと感じた時に、相手を制止するために発せられることがあります。
遊びの範疇であれば、この声を聞いた相手は少し攻撃を緩めるか、一旦距離を取ることが多いです。
一方、しっぽが根元から大きく膨らむのは、驚きや恐怖、そして興奮が最大限に高まっているサインです。
体を大きく見せて相手を威嚇する目的があります。
じゃれあいの中で一時的に興奮してしっぽが膨らむこともありますが、低い唸り声(ウーッ)を伴ったり、耳を完全に伏せてイカ耳になったりしている場合は、遊びの域を超えて本気の喧嘩に移行している可能性が高いです。
遊びと喧嘩の境界線は、以下の表のようにいくつかのポイントで判断できます。
観点 | 遊び(じゃれあい)の場合 | 本気の喧嘩の場合 |
---|---|---|
鳴き声 | 声は出さないか、軽く鳴く程度 | 「シャー」「ウーッ」という低い唸り声が続く |
耳の様子 | 通常通り立っているか、やや横向き | 完全に伏せた「イカ耳」の状態 |
爪の有無 | 爪はしまっていることが多い | 爪を出し、相手を傷つけようとする |
力加減 | 甘噛みで、手加減されている | 本気で噛みつき、出血を伴うことがある |
役割交代 | 追いかける側と追われる側が入れ替わる | 強い方が一方的に追いかけ、弱い方が逃げるのみ |
終了後 | 何事もなかったかのように一緒にくつろぐ | 互いに距離を置き、緊張状態が続く |
これらの点を踏まえると、シャーという声やしっぽが膨らむ行動が見られても、すぐに遊びが中断されたり、役割交代が見られたりする場合は、じゃれあいの範疇である可能性が高いです。
しかし、威嚇が執拗に続き、一方が怯えている様子であれば、注意深く見守る必要があります。
一方的に逃げるのは相性が悪いサインかも

猫同士の追いかけっこにおいて、常に同じ猫が追い詰められ、一方的に逃げ回っている状況は、二匹の相性が良くない可能性を示唆する重要なサインです。
健全なじゃれあいでは、追いかける役と追いかけられる役が自然に入れ替わることが多く、お互いが遊びを楽しんでいる様子が見られます。
しかし、力関係に大きな差があったり、片方の猫がもう一方を縄張りを脅かす存在として認識していたりすると、強い猫が弱い猫を執拗に追いかけ回すという構図が生まれます。
この場合、追われる側の猫は遊びではなく、恐怖やストレスを感じています。
逃げる猫は、隠れる場所を探したり、飼い主に助けを求めたり、体を小さくして萎縮したりといった行動を見せるでしょう。
これは、もはやコミュニケーションとしての遊びではなく、いじめや排斥行動に近い状態です。
このような状況が続くと、弱い立場にある猫は常に緊張を強いられ、食欲不振や不適切な場所での排泄、過剰なグルーミングといったストレスサインを示すことがあります。
心因性の病気を引き起こす原因にもなりかねません。
もし、愛猫たちの追いかけっこが常に一方的で、逃げる側が明らかに怯えている場合は、それは二匹の相性が良くない、あるいは関係性がうまく築けていない証拠と考えられます。
飼い主としては、単なる遊びとして放置するのではなく、関係改善のための対策を講じる必要があるでしょう。
追いかけっこが始まったらおもちゃで注意をそらす、生活空間を一時的に分けるといった介入も時には必要です。
猫同士の追いかけっこの意味から知る関係性と対処法

- 猫同士が仲良しのサインはどんな行動?
- 先住猫と新入り猫が仲良くなったサイン
- 猫同士がくっついて寝ることでわかる仲良し度
- 仲悪いのに一緒に寝ることはある?
- 激しい追いかけっこに人間はどうすべき?
猫同士が仲良しのサインはどんな行動?

猫同士が本当に仲が良いのかどうかは、追いかけっこの内容だけでなく、日常の様々な行動から読み取ることができます。
激しくじゃれ合っていても、実は深い信頼関係で結ばれていることは少なくありません。
最も分かりやすい仲良しのサインの一つが、お互いの体を舐め合う「アログルーミング」です。
これは、母猫が子猫にするように、相手への愛情や仲間意識の表れです。
特に、自分では届きにくい頭や首周りを舐め合うのは、親密な関係である証拠と言えます。
また、挨拶の仕方も関係性を示すバロメーターです。
仲の良い猫同士は、出会い頭に鼻と鼻をくっつけ合う「鼻チュー」をします。
これはお互いの匂いを交換し、敵意がないことを確認し合う行動です。
さらに、すれ違いざまに自分の体を相手にこすりつけたり、しっぽを絡ませたりするのも、親愛の情を示す行動です。
くつろいでいる時の距離感も重要です。
常に一定の距離を保ち、お互いを避けているようであれば関係は良好とは言えませんが、気づけばすぐそばでくつろいでいる、同じ空間でリラックスしているという場合は、お互いの存在を認めている証拠です。
これらの行動が見られるなら、たとえ時々激しい追いかけっこをしていたとしても、二匹は良い関係を築けていると考えてよいでしょう。
先住猫と新入り猫が仲良くなったサイン

新しく猫を家族に迎えた際、飼い主にとって最大の関心事は、先住猫と新入り猫が良い関係を築けるかどうかです。
最初は威嚇し合っていた二匹が、仲良くなったことを示すサインにはどのようなものがあるのでしょうか。
初期段階の大きな変化は、お互いへの威嚇が減ることです。
新入り猫の姿が見えても、先住猫が「シャー」と威嚇したり、唸り声をあげたりする頻度が明らかに減ってきたら、それは相手の存在を少しずつ受け入れ始めたサインです。
お互いが同じ空間にいることに耐えられるようになり、無視したり、あえて視線を合わせなかったりするのは、無用な争いを避けるための猫なりの知恵であり、関係改善の一歩と捉えられます。
次のステップとして、お互いの匂いがついたものへの反応に変化が見られます。
例えば、新入り猫が使った毛布の上で先住猫がくつろぐ、あるいはその逆の行動が見られたら、相手の匂いを自分の縄張りの中にあるものとして認識し始めた証拠です。
そして、最終的には前述の仲良しのサインが見られるようになります。
鼻での挨拶を交わすようになったり、気づけば同じ部屋で、少し離れた場所でくつろいでいたりするようになれば、関係はかなり良好になったと言えます。
すぐそばで寝る、グルーミングし合うといった行動が見られるようになれば、二匹が本当の家族になった証拠です。
焦らず、猫たちのペースを見守ることが大切です。
猫同士がくっついて寝ることでわかる仲良し度

猫同士が体をぴったりと寄せ合い、いわゆる「猫団子」の状態でくつろいだり眠ったりする姿は、飼い主にとってこの上なく幸せな光景です。
この行動は、二匹の仲良し度が非常に高いレベルにあることを示す、最も分かりやすいサインの一つです。
猫はもともと単独行動を好む動物ですが、心を許した相手とは体を寄せ合うことで安心感を得ます。
無防備な睡眠中に自分の背中や急所を任せるということは、相手を仲間として完全に信頼している証拠に他なりません。
特に寒い季節でなくてもくっついて寝ている場合は、暖を取るという目的以上に、精神的な繋がりを求めていると考えられます。
また、くっついて寝る行動は、お互いの匂いを交換し、共有することで、仲間意識をより強固にする意味合いもあります。
自分の匂いと相手の匂いが混ざり合うことで、「自分たちは同じグループのメンバーである」という認識を深めているのです。
日中は激しいプロレスごっこを繰り広げている猫たちが、夜になると寄り添って眠っているのであれば、その追いかけっこは敵意からくるものではなく、健全な遊びであり、コミュニケーションの一環であると判断して間違いないでしょう。
猫同士がくっついて寝る行動は、二匹の間に強い絆と信頼関係が存在することを示す、何よりの証拠と言えます。
仲悪いのに一緒に寝ることはある?

基本的には、仲の悪い猫同士が自ら進んで一緒に寝ることはほとんどありません。
猫にとって睡眠中は最も無防備な状態であり、信頼できない相手のそばでリラックスすることは大きなストレスとなるためです。
しかし、飼い主から見て「仲が悪い」と感じていても、猫たちの間では一定のルールや序列が確立されており、飼い主が思うほど関係が悪くないケースも存在します。
例えば、日中は縄張りを主張し合って距離を置いているものの、夜になると飼い主のベッドの上など、特定の「休戦地帯」でなら近くで寝ることをお互いに許容している、という状況はあり得ます。
これは、飼い主という絶対的な安心材料がある場所だからこそ成立する、特殊な状況と言えるでしょう。
また、寒い冬場など、暖を取るという生存本能が、多少の苦手意識を上回ることも考えられます。
お気に入りの暖かい場所が一つしかなく、そこを共有せざるを得ない場合、お互いに干渉しないという暗黙のルールのもと、近くで眠るかもしれません。
ただし、この場合、体をぴったりとくっつけるのではなく、一定の距離を保っていることがほとんどです。
要するに、本当に敵意をむき出しにして仲が悪い猫同士が、体を寄せ合って一緒に寝ることはまずありません。
もし近くで寝ているように見えても、それは限定的な状況下での妥協の産物であるか、あるいは飼い主が思うほど二匹の関係が悪化していないかのどちらかである可能性が高いです。
激しい追いかけっこに人間はどうすべき?

愛猫たちの追いかけっこがあまりに激しく、本気の喧嘩のように見えると、飼い主としては思わず止めに入りたくなります。
しかし、人間がむやみに介入することは、必ずしも良い結果を生むとは限りません。
猫同士のじゃれあいや軽い喧嘩は、彼らにとっての序列を決めたり、ストレスを発散したりするための重要なコミュニケーションの一部です。
人間がその都度仲裁に入ってしまうと、彼ら自身で問題を解決する機会を奪ってしまい、かえって関係がこじれてしまうことがあります。
基本的には、流血するような怪我に発展しない限り、静観するのが望ましい対応です。
ただし、明らかに一方の猫が追い詰められ、恐怖を感じている場合や、威嚇の声が続き、攻撃が執拗である場合は、介入が必要になります。
その際、絶対に素手で止めようとしてはいけません。
興奮した猫は飼い主であっても見境なく攻撃してくる可能性があり、大怪我につながる危険があります。
最も安全で効果的な方法は、大きな音を立てて猫たちの注意をそらすことです。
手をパンと叩いたり、クッションを床に叩きつけたりして、追いかけっこ以外のことに意識を向けさせます。
霧吹きで水を軽くかけるのも有効ですが、猫が水を嫌いすぎると飼い主への不信感につながるため注意が必要です。
おもちゃを投げて、攻撃性を別の対象に向けさせるのも良い方法でしょう。
介入の目的は、あくまでも猫たちの興奮を冷まし、クールダウンさせるきっかけを作ってあげることです。
まとめ:猫同士の追いかけっこの意味を理解しよう

この記事では、猫同士の追いかけっこが持つ様々な意味と、その背景にある猫の心理について解説しました。
最後に、重要なポイントをまとめます。
- 猫の追いかけっこは遊び、序列決め、ストレス発散など多くの意味を持つ
- 取っ組み合いや首を噛む行動は、多くがじゃれあいの範疇
- 追いかけっこ中にお腹を見せるのは、信頼と遊びへの誘いのサイン
- ゴロンと寝転ぶ行動も、相手への心を許したリラックスの表れ
- 「シャー」という威嚇は警告音だが、遊びの中で使われることもある
- しっぽが膨らむのは興奮のサインで、唸り声やイカ耳を伴うと本気の可能性
- 遊びと喧嘩の見分けは、声、耳、爪、役割交代、終了後の様子で判断
- 常に同じ猫が一方的に逃げるのは、相性が悪いか、いじめのサイン
- アログルーミング(舐め合い)や鼻チューは、代表的な仲良しのサイン
- 先住猫と新入り猫の関係改善は、威嚇の減少から始まる
- 体をくっつけて寝るのは、最高の信頼と仲良し度を示す行動
- 本当に仲が悪い猫同士が一緒に寝ることは、基本的にはない
- 激しい追いかけっこも、怪我がない限りは猫同士のルールに任せるのが基本
- 介入が必要な場合は、素手で止めず、音やおもちゃで注意をそらす
- 猫たちの行動を正しく理解し、関係性を見守ることが飼い主の重要な役割