かつては街中で頻繁に見かけた野良犬ですが、現在ではほとんど姿を見かけなくなりました。
この記事では、野良犬とは何か、なぜ野良犬はいなくなったのか、そして今も野良犬は存在しているのかという視点から、日本における野良犬の現状をわかりやすく解説します。
さらに、野良犬の寿命はどのくらいか、野犬の捕獲義務と法律の対応、野良猫はいるのに野良犬がいない理由についても掘り下げます。
野良犬に関する知識を深め、もし見つけたら適切に対応できるよう、ぜひ最後までご覧ください。
野良犬がいなくなった理由とその背景

- 野良犬がいなくなった主な理由と背景
- 現在も野良犬が存在する地域や状況
- 野良犬を見つけたときの適切な対処法
- 野良犬と狂犬病などの感染リスクの関係
野良犬とは?定義と人との関わり
野良犬とは、飼い主が存在せず、屋外を自由に移動して生活している犬のことを指します。
日本では「野良犬」や「野犬」という言葉が用いられますが、意味に若干の違いがあります。
一般的に「野良犬」は、もともと人に飼われていた犬が捨てられたり迷子になったりして野外で暮らすようになった犬を指します。
一方、「野犬」と呼ばれる場合、過去に人に飼われていたかどうかに関係なく、野外で繁殖しながら生きている犬のことを含む場合があります。
こうした犬たちは、人との関係を一度は持っていた可能性が高いという点で、完全な野生動物とは異なります。
特に日本では、犬を飼うためには自治体への登録や狂犬病の予防接種、係留義務などが法律で定められており、これらを守っていない犬は野良犬として扱われることがあります。
また、野良犬は環境によっては群れを作って行動することがあり、人との距離感も個体によって大きく異なります。
人に慣れて近づいてくることもあれば、強い警戒心を持って攻撃的な反応を示す場合もあります。
人との関わりという面では、野良犬は危険視されることも多い存在です。
例えば、狂犬病や他の動物由来感染症の媒介リスク、また人を襲う可能性といった問題があります。
しかし一方で、保護活動を通じて再び人と信頼関係を築くことができる犬も多くいます。
このように、野良犬は人間社会と切っても切れない関係にある存在だと言えるでしょう。
なぜ野良犬はいなくなったのか?
かつては公園や路地裏などでよく見かけた野良犬ですが、現代の日本ではその姿を見かけることがほとんどなくなりました。
これは単なる偶然ではなく、いくつかの社会的・法的背景によるものです。
第一の理由として挙げられるのが、狂犬病予防法をはじめとした法制度の整備です。
特に1950年代以降、日本では狂犬病の予防を目的として、飼い主による犬の登録と予防接種が義務付けられるようになりました。
また、放し飼いが禁止され、放浪犬は行政機関によって積極的に捕獲されるようになったことで、野良犬が街中に残りづらい環境が整いました。
加えて、保健所や動物愛護センターなどの機関が野良犬の捕獲・保護・譲渡活動を行ってきたことも、野良犬の減少に大きく寄与しています。
特に1980年代から2000年代初頭にかけては、殺処分という形での対応も多く行われました。
この時期に多くの野良犬が処分されたことは、現在の野良犬減少に直結しています。
さらに、犬の飼育環境そのものの変化も見逃せません。
昔は庭で鎖につながれて飼われていた犬が多かったのに対し、今では室内で飼うスタイルが一般的になりました。
室内飼いの普及によって、犬が逃げ出す機会が大きく減少したのです。
つまり、制度・行政・生活スタイルの三つが合わさった結果として、野良犬の発生源が少なくなり、すでにいた野良犬も保護されるなどして減少したというのが現状です。
ただし、完全にゼロになったわけではなく、一部の地域では今も野良犬が確認されています。
今も野良犬は存在している?
現在の日本において、野良犬の数は大幅に減少しているものの、完全にいなくなったわけではありません。
都市部ではほとんど見かけなくなりましたが、地方の山間部や農村地帯などでは今も野良犬が確認されるケースがあります。
こうした地域では、人の目が届きにくく、行政の捕獲活動も難航しがちです。
また、農地や山林の近くでは野良犬がエサを確保しやすく、繁殖も続いている場合があります。
特に四国や一部の中山間地域では、保護された犬の中に幼齢の個体が多く含まれていることから、今もなお野良犬が繁殖している実態があると考えられています。
また、災害などで飼い主とはぐれた犬が野良化することもあります。
過去の大規模地震や水害の後、避難中に飼い主が飼育できなくなったり、家が倒壊して犬が逃げ出したりすることで、結果として野良犬が生まれることがありました。
ただし、これらの野良犬の多くは、保健所や動物愛護団体によって保護される流れにあります。
保護された犬は、一定期間飼い主の有無を確認された後、譲渡先を探すか、状況によってはやむを得ず殺処分されることもあります。これは動物福祉の観点からも慎重に判断される事項です。
事実、環境省の統計によれば、令和4年度においても所有者不明の犬が全国で7,507頭引き取られており、そのうちの約28%にあたる2,095頭が殺処分されています。
このように、野良犬が「見かけない存在」になっているのは確かですが、「存在していないわけではない」というのが実情です。
地域や状況によっては、今でも野良犬が人間社会のすぐそばで生きている現実があることを理解しておく必要があります。
野良犬の寿命はどのくらい?
野良犬の寿命は、飼い犬と比較して大幅に短い傾向があります。
環境による影響が大きく、野良犬の平均寿命はおよそ3年から5年程度とされています。
これに対し、一般家庭で適切に飼育されている犬の寿命は、犬種にもよりますが12年から15年前後が一般的です。
野良犬の寿命が短い理由の一つは、食事や衛生状態が非常に不安定であることです。
食べ物にありつけるかどうかが日々異なる上、腐敗したものや人間のゴミを口にすることも珍しくありません。
このような食生活は健康を損ない、病気のリスクも高まります。
また、医療を受けられないことも大きな要因です。
飼い犬であれば予防接種や病気の治療を受けられますが、野良犬の場合はそうしたケアを受けることができません。
感染症にかかっても自然治癒に頼るしかなく、それが命にかかわるケースもあります。
交通事故や他の動物との争いも、野良犬の寿命を縮める原因になります。
都市部では車との接触事故が頻発し、農村部や山間部ではイノシシや野犬同士の争いが原因で命を落とす例も見られます。
つまり、野良犬の寿命は短く、その背景には過酷な生活環境と人間の支援の不在があります。
保護活動を通じて適切な医療と食事を与えることで、寿命を延ばすことは可能ですが、自由に生きているように見える野良犬の多くが、実際には非常に短い一生を送っているのが現実です。
野犬の捕獲義務と法律の対応
日本では野犬の存在そのものが法律上問題視されており、行政には一定の捕獲義務が課せられています。
この義務の根拠となっているのが「狂犬病予防法」です。
この法律では、飼い主のいない犬が自由に徘徊することを禁じ、保健所や動物愛護管理センターなどが対象となる犬を捕獲しなければならないと定めています。
捕獲の目的は主に2つあります。
第一に、公衆衛生の維持です。
野犬が狂犬病や他の感染症を媒介するリスクを排除することが求められます。
第二に、人身事故や家畜への被害を防止する目的があります。
特に群れを成して行動する野犬は、攻撃的になることがあり、地域住民にとっては大きな不安要素となります。
捕獲された犬については、自治体によって保護期間が設定されています。
その間に飼い主が見つかれば返還されますが、見つからない場合は譲渡の検討、あるいはやむを得ず殺処分されることになります。
なお、休日や夜間に保護された犬は、拾得物として一時的に警察署で管理される場合もあります。
また、野犬に該当する犬のうち、人間の生活圏に全く依存せずに山野で自活している個体は「狩猟鳥獣」として扱われることがあります。
これは鳥獣保護法の規定に基づくもので、許可を得れば狩猟対象とすることができます。
このように、日本の法制度では野犬の放置を認めておらず、各自治体には捕獲とその後の処遇に関する責任があるとされています。
これらの対応は、動物愛護の観点と人間の安全のバランスを取るために非常に重要な役割を果たしています。
野良猫はいるのに野良犬はいない理由
街中で野良猫を見かけることはあっても、野良犬の姿を見る機会は極めて少なくなっています。
この違いには、法制度や生態、社会的な意識の差が関係しています。
まず制度の面で、犬は法律により登録と狂犬病予防接種が義務付けられています。
飼い主には係留の責任もあり、外で自由にさせることはできません。
そのため、逃げ出したり捨てられたりしても、すぐに行政の保護対象となり、野良犬として放置されにくくなっています。
一方、猫にはこうした法的な管理義務が存在しません。
飼い猫であっても、屋外に出入りすることが当たり前とされてきた歴史があり、飼い主の所在が不明なまま野良化するケースが多いのです。
また、猫は犬に比べて身体が小さく、人目につきにくい場所で生活するため、捕獲も困難です。
さらに、犬は社会的な危険性が高い動物と見なされていることも要因です。
狂犬病をはじめとする感染症のリスク、そして攻撃性のある個体が人を傷つける危険性があるため、行政による早期の対応が求められます。
猫の場合はそこまでの危険と見なされにくく、見逃されやすい傾向があります。
こうした背景から、野良猫は今も各地でその存在が確認されていますが、野良犬は行政の対応によって街から姿を消すことになりました。
この違いは、単なる偶然ではなく、制度と意識の結果であるといえます。
野良犬がいなくなった日本の今と対応策

- 野良犬が多い地域と県の特徴と傾向
- 野良犬が怖いと感じたときの対処法
- 野良犬による狂犬病などの感染リスク
- 日本における野良犬の現状と今後の課題
野良犬が多い地域と県の特徴と傾向
野良犬が多く見られる地域や県には、いくつかの共通した特徴があります。
主に自然と人間の生活圏が隣接している地域や、捕獲が難しい山間部、温暖な気候の地域などが挙げられます。
特に四国地方は、全国的に見ても野良犬の保護件数が多く、野良犬の繁殖が続いている地域の一つとされています。
このような地域では、野良犬が食料を確保しやすい環境が整っていることが多いです。
人の生活圏に近い場所であれば、生ゴミや餌を得やすく、空き家や農地などには隠れ場所が豊富にあります。
また、住民の一部が「かわいそう」という理由で餌を与えてしまうことも、野良犬の定着や繁殖を促す要因となります。
一方、行政の野犬対策が行き届きにくいエリアでも、野良犬が残りやすくなります。
山間部や農村地帯では、犬の行動範囲が広くなる上に、保健所職員の巡回も限られているため、捕獲が追いつかない現状があります。
その結果、野良犬の子犬が保護される例も見られ、地域内で繁殖が継続している可能性が高いと考えられます。
このように、野良犬が多い県や地域には、地形、気候、人の行動、行政体制など、複数の要素が複雑に絡み合っています。
単純に都市部と地方で分けるのではなく、それぞれの地域が持つ背景や環境を理解することが大切です。
野良犬が怖いと感じたときの対処法
野良犬を見かけた際に、恐怖を感じるのは自然な反応です。
特に複数の犬が群れをなしている場面や、大きな体格の犬がこちらを見て吠えているような状況では、危険を感じるのも無理はありません。
こうした場合に慌てた行動をとると、犬を刺激してしまい、思わぬ事故につながる可能性があります。
まず重要なのは、野良犬を刺激しないことです。
大声を出したり、急に走って逃げたりする行為は、犬の警戒心を強める原因となります。
犬にとっては敵意を向けられたと誤解し、防御や攻撃に出ることがあります。
その場では静かに立ち止まり、目を合わせず、ゆっくりと距離を取るようにしましょう。
また、犬がこちらに近づいてきた場合は、背を向けずに落ち着いた様子で少しずつ後退するのが効果的です。
手を振り回したり物を投げたりすることも避けてください。
犬を興奮させてしまう可能性があります。
地域によっては野良犬の通報先が保健所や動物管理センターに指定されています。
たとえば岩手県では、野良犬を保護する際に「7日以上保管し、譲渡適性がある場合は延長される」としており(令和5年度 全国自治体データより)、通報によって保健所が対応にあたる仕組みが整備されています。
宮城県や北海道などでも、ホームページや掲示板で所有者不明犬の情報を公示しており、速やかな通報が保護と譲渡の可能性を高めるとされています。
野良犬を見かけた場所や時間、頭数などを控えておくと、通報後の対応がスムーズになります。
もし野良犬による被害があった場合には、速やかに自治体や医療機関へ連絡することが大切です。
また、保健所や動物愛護センターは、収容した犬に対してマイクロチップの有無を確認したり、飼い主が判明するまで最大で1か月以上保管するケースもある(福島県・愛知県・山形県など)ことからも、通報者の情報が犬の命を救う一助となるといえます。
野良犬に対して恐怖を感じたときこそ、冷静でいることが身の安全につながります。
事前に正しい対処法を知っておくことで、不安を軽減することができます。
野良犬による狂犬病などの感染リスク
野良犬が人間にもたらすリスクの中で、最も警戒すべきものの一つが感染症です。
特に狂犬病は致死率が非常に高いウイルス性疾患であり、人に感染した場合の治療はほとんど不可能とされています。
日本では1950年に狂犬病予防法が制定され、その後の徹底した対策により国内での発生は抑えられていますが、完全に油断できる状況ではありません。
日本が狂犬病清浄国とされているのは事実ですが、アジアの近隣諸国では今もなお狂犬病が流行している地域が多く存在します。
輸入犬や違法な持ち込みが原因で国内に再びウイルスが持ち込まれる可能性もゼロではありません。
そのため、飼い犬に対しては毎年の狂犬病予防接種が義務付けられています。
野良犬は予防接種を受けていない可能性が高く、万が一感染している場合、噛みつきなどによって人へ感染する恐れがあります。
狂犬病以外にも、パスツレラ症やカプノサイトファーガ感染症といった細菌性疾患も報告されており、噛まれた傷が重症化する事例も少なくありません。
このような感染リスクを防ぐためには、野良犬にむやみに接近しないことが基本です。
特に子どもや高齢者など、身体的に弱い立場の人にとっては、わずかな接触でも大きな健康被害につながる可能性があります。
仮に噛まれてしまった場合は、速やかに医療機関を受診し、感染症対策を受ける必要があります。
公衆衛生の観点から見ても、野良犬の管理と予防は極めて重要な課題です。
感染症リスクを最小限に抑えるためにも、正しい知識と意識を持つことが求められています。
日本における野良犬の現状と今後の課題
現在の日本では、かつてのように街中で野良犬を見かける機会はほとんどありません。
これは、長年にわたる法整備や行政による保護活動の成果として捉えられています。
1950年に狂犬病予防法が施行されて以来、自治体は犬の登録と予防接種を義務付け、放浪犬の捕獲や管理を徹底してきました。
その結果として、都市部を中心に野良犬の数は大幅に減少し、野良犬が社会問題として取り上げられることも少なくなりました。
一方で、地方の一部では今でも野良犬が確認されている地域が存在します。
特に山間部や農村地帯では、保健所や動物愛護センターの対応が物理的・人的な制約を受けやすく、犬の捕獲や繁殖抑制が難しいという課題があります。
また、野良犬に対する餌付けや中途半端な保護行動が逆に野良犬の定着を招いているケースもあります。
このような行為は善意から出たものであっても、結果的に群れを作りやすくし、人とのトラブルを生む原因になります。
さらに、野良犬の問題は「数の問題」だけではなく「質の問題」へと移行しつつあります。
現在、動物保護施設に保護されている犬の多くは高齢であったり、人に対して警戒心が強い個体であったりするため、譲渡が難航しがちです。
新しい飼い主とのマッチングが難しい場合、長期間施設で過ごすことになり、結果として施設自体の負担が増している状況もあります。
今後の課題としては、まず第一に「飼い主の意識向上」が挙げられます。
犬を飼う際の責任を十分に理解し、最後まで面倒をみるという姿勢が社会全体に浸透することが求められます。
これに加えて、マイクロチップの義務化や譲渡前の避妊去勢手術といった制度の定着も重要な施策です。
これらは野良犬の発生を予防するうえで効果的であり、すでに取り組んでいる自治体も増えています。
また、残存する野良犬への対応としては、行政と地域住民、動物保護団体が連携し、計画的な捕獲と譲渡活動を進める必要があります。
個々の立場や意見の違いはあるとしても、野良犬にとって最も望ましい環境は、適切な飼い主のもとで安全に暮らすことです。
そのためには、人と動物が共に安心して暮らせる社会の実現に向けた取り組みを、今後も継続していくことが求められています。
野良犬 いなくなった 見つけたら知っておきたい重要なポイントまとめ
野良犬がいなくなった理由や、今も野良犬は存在しているのかといった現状を理解することで、野良犬を見つけたときに落ち着いて対応できるようになります。
また、野良犬の寿命はどのくらいか、野犬の捕獲義務と法律の対応、野良猫はいるのに野良犬はいない理由などを知ることは、社会全体で動物と共生するために欠かせません。
正しい知識を持ち、適切な行動を心がけることが大切です。
- 野良犬とは飼い主のいない犬であり、野犬とは定義が異なる
- 日本では法的に犬の登録と係留が義務付けられている
- 狂犬病予防法の施行が野良犬減少の大きな要因となった
- 保健所や動物愛護センターの捕獲と譲渡が進められてきた
- 1980年代以降の殺処分が野良犬の数を大幅に減らした
- 室内飼いの普及により犬の逃走・野良化の機会が減った
- 都市部ではほとんど野良犬を見かけなくなっている
- 山間部や一部地域では現在も野良犬の存在が確認される
- 災害などで野良化するケースが今も少なからずある
- 野良犬の寿命は3〜5年程度と非常に短い傾向にある
- 捕獲された野犬は法に基づいて保護・譲渡・処分される
- 山野で自活する犬は狩猟対象となる可能性がある
- 野良猫はいるのに野良犬がいないのは制度の差によるもの
- 野良犬を見つけたら刺激せず静かに距離をとるのが基本
- 感染症リスクがあるため噛まれた場合はすぐに受診が必要



