「ネクスガードでフィラリア対策もしたい」と考えて調べてみると、通販や効果に関するさまざまな情報が出てきて、混乱してしまうことがありますね。
実は、ネクスガードという製品そのものには、フィラリアを予防する効果は含まれていないという事実をご存知でしょうか。
多くの飼い主さんが求めているのは、ノミやマダニだけでなく、フィラリアやお腹の虫まで一度にケアできるネクスガードスペクトラという上位版のお薬だと考えられます。
この記事では、両者の違いや値段の相場、そしていつから飲ませるべきかといった具体的な疑問について詳しく解説していきます。
- ネクスガードとネクスガードスペクトラの決定的な違いと選び方
- フィラリア予防薬を投与する適切な期間とスケジュールの目安
- 通販サイトでの購入リスクや動物病院との価格差に関する実情
- 副作用や愛犬が薬を食べてくれない時の具体的な対処法
ネクスガードでフィラリア予防をする前に知るべき事実

愛犬の健康を守るために、予防薬は欠かせませんが、製品ごとの特徴を正しく理解していないと思わぬ「予防の穴」が生まれてしまうリスクがあります。
ここでは、まず、多くの飼い主さんが混同しやすいネクスガードブランドの製品仕様や、具体的な効果の範囲、そして安全に使用するための基本的な知識について整理していきましょう。
ネクスガードスペクトラの成分と効果の違い

まず最初に押さえておくべきは、ネクスガードとネクスガードスペクトラは成分構成が異なる別のお薬であるという点です。
通常のネクスガードは、「アフォキソラネル」という成分のみを配合しており、これはノミとマダニを駆除するためのものです。
したがって、ネクスガードを毎月飲ませていても、フィラリア(犬糸状虫)の予防はできません。
一方、ネクスガードスペクトラには、アフォキソラネルに加えて「ミルベマイシンオキシム」という成分が配合されています。
このミルベマイシンオキシムが、フィラリアの幼虫を駆除し、さらに回虫、鉤虫、鞭虫といったお腹の寄生虫もまとめて退治してくれます。
「スペクトラ(Spectra)」という名前は、その守備範囲(スペクトル)の広さを表していると言えますね。
フィラリア予防まで一本で済ませたい場合は、必ず「スペクトラ」を選ぶ必要があります。
ネクスガードスペクトラの体重制限と用量

お薬の安全性を確保するためには、愛犬の体重に合ったサイズを厳密に選ぶことが重要です。
ネクスガードスペクトラは、体重ごとに細かく規格が分かれていますが、2024年時点での最新情報では、最小体重制限が緩和されている点に注目してください。
以前は1.8kg以上が対象でしたが、現在は「1.35kg以上」から投与可能となっています。
これにより、極小サイズのチワワやティーカッププードルなどの超小型犬でも、オールインワン製剤によるケアがしやすくなりました。
ただし、成長期の子犬は、1ヶ月で体重が大きく変化することも珍しくありません。
毎月の投薬前には必ず体重を測定し、常に適正な用量を選択するようにしましょう。
体重区分をまたぐ微妙なラインの場合は、自己判断せずに獣医師に相談するのが確実です。
ネクスガードスペクトラの効果期間と投薬スケジュール

ネクスガードスペクトラの効果期間は、1回の投与で約1ヶ月間持続します。
ここで非常に重要になるのが、「いつからいつまで飲ませるか」という投薬期間の管理です。
フィラリア予防薬は、蚊に刺されて体内に入った幼虫が成長するのを防ぐ「駆虫薬」としての性質を持っています。
そのため、蚊を見かけなくなったからといってすぐに投薬をやめてはいけません。
一般的には、「蚊が見られなくなってから1ヶ月後」まで投薬を続ける必要があります。
HDU(Heartworm Development Unit)という気候データを基にした計算では、関東以西の多くの地域で12月頃までの投薬が推奨されています。
最後の1回を飲み忘れると、それまでの予防がすべて無駄になってしまうリスクがあるため、カレンダーなどでしっかりと管理することが求められます。
ネクスガードでダニが落ちるまでの時間

ノミやマダニに対する即効性は、ネクスガードシリーズの大きな強みの一つです。
有効成分のアフォキソラネルは、投与後30分ほどで作用し始め、ノミであれば6時間以内に、マダニであれば12〜24時間以内に駆除効果を発揮するとされています。
特にマダニは、吸血開始から48時間以降に重篤な感染症(バベシア症など)を媒介するリスクが高まると言われています。
そのため、48時間以内に高い確率で駆除できるこのスピード感は、感染症予防の観点からも非常に有利に働きます。
散歩後にダニがついているのを見つけたとしても、すでに投薬済みであれば、ダニが自然に落ちるか死滅するのを期待できますが、大量に寄生している場合は獣医師による処置を仰いでください。
ネクスガードは疥癬にも効果があるのか

愛犬が激しいかゆみに襲われる「疥癬(ヒゼンダニ症)」に対して、ネクスガードが効くのか疑問に思う方もいるかもしれません。
結論から言うと、ネクスガードスペクトラの添付文書(説明書)には、効能・効果として「疥癬」は明記されていません。
あくまでノミ・マダニ・フィラリアなどが正式な適応範囲です。
しかし、獣医学的な知見として、アフォキソラネルを含むイソオキサゾリン系の薬剤は、疥癬の原因となるヒゼンダニに対しても高い駆除効果を示すという研究報告が数多く存在します。
そのため、実際の診療現場では、獣医師の裁量と判断によって疥癬治療のために処方されるケースがあります(適応外使用)。
もし愛犬に疥癬の疑いがある場合は、自己判断で投与せず、必ず動物病院で確定診断と適切な処方を受けるようにしてください。
フロントラインとネクスガードはどっちがいい?

よく比較されるのが、背中に垂らすスポットタイプの「フロントライン(プラス)」と、食べるタイプの「ネクスガード」です。
どちらが良いかは、飼い主さんのライフスタイルと愛犬の性格によって決まります。
ネクスガードのメリット:
- 投与直後でもシャンプーや抱っこが可能。
- 皮膚が弱くてスポット剤で荒れてしまう犬でも安心。
- おやつ感覚で与えられるため、投薬のストレスが少ない。
フロントラインのメリット:
- 食物アレルギーがあり、ビーフフレーバーなどが食べられない犬に有効。
- どうしても薬を食べてくれない、吐き出してしまう犬に確実に投与できる。
特に「シャンプーのタイミングを気にしたくない」「子供がすぐに触りたがる」という家庭では、ネクスガードの方が利便性が高いと言えます。
逆に、グルメすぎて薬を一切受け付けないワンちゃんにはフロントラインが有力な選択肢となるでしょう。
犬用のネクスガードを猫が食べると危険か

多頭飼いのご家庭で注意が必要なのが、犬用のネクスガードを猫が誤って食べてしまう事故です。
ネクスガードは犬の生理機能に合わせて設計された薬剤であり、猫に対する安全性は確認されていません。
特に、体重差を考慮せずに犬用の用量を猫が摂取してしまうと、過剰投与となるリスクがあります。
猫用のノミ・ダニ駆除薬にも同じ系統の成分が使われることはありますが、犬用製品に含まれる添加物や用量設定が猫に適しているとは限りません。
万が一、猫が犬用のネクスガードを食べてしまった場合は、直ちに動物病院へ連絡し、指示を仰いでください。
最悪の事態を防ぐためにも、保管場所や投薬時の隔離には細心の注意を払う必要があります。
気になるネクスガードスペクトラの副作用

どのような医薬品にも副作用のリスクは存在しますが、ネクスガードスペクトラは一般的に安全性の高い薬として広く普及しています。
報告されている主な副作用としては、嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失などの消化器症状が挙げられます。
これらは一時的なものであることが多いですが、投与後すぐに吐いてしまった場合は成分が吸収されていない可能性があるため、獣医師への相談が必要です。
また、コリー犬種などで問題となるMDR1遺伝子変異についても、承認された用量を守っている限りは安全に使用できるとされています。
ただし、てんかん発作の既往歴がある犬に対しては、イソオキサゾリン系薬剤の使用に慎重な判断が求められることがあります。
愛犬の体質に不安がある場合は、事前に獣医師とよく相談してから処方してもらいましょう。
フィラリア予防に使うネクスガードの購入と注意点

フィラリア予防薬は要指示医薬品(処方薬)であり、本来は獣医師の診察を経て入手するものです。
しかし、近年はネット通販などを利用して個人的に入手しようとする動きも見られます。
ここでは、安全かつ適正にネクスガードを入手するためのルートや、それに伴うコスト、リスクについて深掘りしていきます。
ネクスガードはどこで買える?

日本国内において、ネクスガードおよびネクスガードスペクトラを正規に購入できる場所は「動物病院」のみです。
Amazonや楽天といった一般的な国内通販サイトやホームセンター、ドラッグストアでは販売されていません。
これは法律で定められたルールであり、獣医師が愛犬の健康状態や体重を確認し、フィラリア感染の有無を検査した上で処方する必要があるからです。
特に春先のシーズン始めには、血液検査でミクロフィラリアが体内にいないことを確認せずに予防薬(駆除薬)を投与すると、体内で死滅したフィラリアが血管を詰まらせ、アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用を引き起こす危険性があります。
したがって、動物病院での処方が唯一の「正解」と言えます。
ネクスガードスペクトラの値段の相場

動物病院での処方価格は自由診療のため病院ごとに異なりますが、一般的な相場を知っておくことは予算管理に役立ちます。
ネクスガードスペクトラの価格は体重区分によって変動します。
あくまで目安ですが、1個(1ヶ月分)あたりの価格は以下の通りです。
- 超小型犬(〜3.6kg)
2,000円台後半〜3,500円程度 - 小型犬(3.6〜7.5kg)
3,000円〜4,000円程度 - 中型犬(7.5〜15kg)
3,500円〜4,500円程度 - 大型犬(15kg〜)
4,000円〜6,000円程度
これに加え、シーズン最初の検査料(1,500円〜3,000円程度)や再診料がかかる場合があります。
一見高く感じるかもしれませんが、これには「安全な処方」と「万が一の際のサポート」が含まれていると考えられます。
ネクスガードスペクトラは動物病院だと高いのか

「動物病院は高いから」という理由で、安価な入手ルートを探す飼い主さんも少なくありません。
確かに、薬代だけを見れば後述する個人輸入の方が安く見える場合があります。
しかし、動物病院の価格には、獣医師による健康チェック、体重測定による適切な用量設定、そして何より正規品であるという保証が含まれています。
また、正規ルートで購入・処方された医薬品で重篤な副作用が出た場合、救済制度の対象となる可能性がありますが、個人輸入等のルートではすべて自己責任となります。
数千円の差額で、愛犬の命に関わるリスクヘッジを放棄することになるかどうか、慎重に検討する必要があります。
「安心料」込みの価格と考えれば、決して不当に高いわけではないと言えるでしょう。
ネクスガードを通販で買うと偽物の危険がある

ネットで検索すると見つかる通販サイトは、すべて海外からの「個人輸入代行」です。
これらを利用するメリットは、動物病院よりも安価に購入できるケースが多く、通院の手間も省ける点にあります。
特に多頭飼いの家庭などでは、コストを抑えられる魅力的な選択肢に見えるかもしれません。
しかし、そこには決して無視できないリスクも潜んでいます。
最大のリスクは、届いた薬がメーカー正規品であるという公的な保証がない点です。
見た目はそっくりでも成分が含まれていない偽造品や、輸送中の温度管理不備による品質劣化の可能性もゼロではありません。
もし個人輸入を利用する場合は、運営歴が長く利用者の評判が良い「信頼できる業者」を慎重に見極めることが極めて重要です。
何かトラブルが起きても公的な救済はなく、すべてが「自己責任」となります。
安さというメリットと、愛犬の健康に関わるリスクを天秤にかけ、慎重に判断してください。
愛犬がネクスガードを食べない時の対処法

ネクスガードスペクトラは牛肉風味で嗜好性が高いと評判ですが、中には警戒して食べてくれないワンちゃんもいます。
そんな時の対処法として、まずは「小さくちぎってフードに混ぜる」方法を試してみてください。
一口サイズにすることで、違和感なく飲み込んでくれることがあります。
それでも食べない場合は、好物のウェットフードや犬用チーズ、投薬補助用のおやつ(ピルポケットなど)に包んで与えるのが効果的です。
ただし、加熱すると成分が変質する恐れがあるため、電子レンジで温めたり調理したりするのは避けてください。
また、全量をしっかり食べたかどうか、食べ残しがないかを最後に必ず確認しましょう。
ネクスガードでフィラリア対策をする重要性

フィラリア症は、一度発症すると心臓や肺に深刻なダメージを与え、最悪の場合は死に至る恐ろしい病気です。
治療には高額な費用と、愛犬への身体的負担が伴います。
しかし、毎月1回、確実にお薬をあげるだけでほぼ100%防ぐことができる病気でもあります。
ネクスガードスペクトラのようなオールインワン製剤は、費用面での負担はありますが、ノミ・マダニ対策と同時にフィラリア予防も完了できるため、飲み忘れのリスクを減らす最強のツールと言えます。
愛犬との長く幸せな時間を守るための「必要経費」として捉え、正しい知識を持って予防を継続していきましょう。
最終的な判断や不安な点は、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。






