愛犬に心雑音がある、僧帽弁閉鎖不全症と診断されたと聞くと、「塩分を減らすべき?」「心臓に良い食べ物はある?」と不安になりますよね。心臓病の食事管理ではナトリウムが注目されますが、すべての病期で極端な塩分制限が適するわけではありません。
心雑音だけで症状がない段階、心拡大がある段階、心不全で利尿薬を使う段階では、食事の目的が変わります。体重、筋肉、食欲、腎機能、電解質、薬も含めて主治医と調整することが大切です。人の加工食品や味付け料理を避け、総合栄養食を土台にしてください。
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- 心臓病の病期で食事管理が変わる理由
- 塩分と水分を自己判断で制限しない考え方
- 体重・筋肉と食欲を保つ方法
- 呼吸の変化で受診を急ぐ目安
心雑音と心不全は違う
心雑音は、心臓内で血液が流れる音の異常を聴診で捉えたものです。雑音があるだけで、すぐに心不全とは限りません。
僧帽弁閉鎖不全症では、弁が十分に閉じず血液が逆流します。進行度は聴診に加え、レントゲン、心臓超音波、血圧などで評価されます。症状や心拡大の程度により、薬と生活管理が変わります。
無症状の段階
心雑音があっても心拡大や症状がない段階では、適正体重と筋肉を保ち、一般的な高塩分のおやつを避けることが中心になる場合があります。極端な制限食へ替える必要がない犬もいます。
心拡大がある段階
心拡大が確認されると薬が始まる場合があります。食事と投薬を安定させ、体重、呼吸、活動性を記録します。食欲が落ちたときの投薬方法も確認してください。
心不全の段階
肺水腫など心不全を経験し、利尿薬を使う犬では、ナトリウム、水分、腎機能、カリウムなどをより慎重に管理します。心臓だけでなく腎臓の状態との両立が必要です。
塩分は食事全体で見る
ナトリウムは体液バランスや神経・筋肉の働きに必要な栄養素です。心不全では過剰を避けることが重要ですが、ゼロにするものではありません。
人の加工食品を避ける
ハム、ソーセージ、ベーコン、チーズ、干物、スナック菓子、スープ、総菜などは塩分が多く、脂肪や玉ねぎなどの危険な材料も含む場合があります。
「ひと口だけ」でも小型犬には大きな量です。家族全員で食卓から与えないルールを共有します。
犬用おやつも確認する
ジャーキー、乾燥魚、歯みがきガム、投薬用ペーストなども毎日の摂取になります。ナトリウム表示がない場合はメーカーへ問い合わせるか、主治医に代替を相談します。
主食が心臓用療法食でも、おやつで塩分とカロリーが増えれば目的を達成しにくくなります。
塩で飲水を促さない
水を飲ませるために塩分の多いスープを加える方法は避けます。体液貯留や血圧へ影響する可能性があります。
犬用スープでも、主食としての栄養を満たすとは限りません。成分と量を確認します。
水を自己判断で制限しない
心臓病では水を減らしたくなるかもしれませんが、利尿薬を使う犬は尿量が増え、脱水や腎機能悪化の危険もあります。通常は新鮮な水へいつでもアクセスできるようにします。
飲水量を記録する
器へ入れた量と24時間後の残量を測り、急な増減を記録します。多頭飼育やこぼした量もメモします。
飲水増加は利尿薬の作用だけでなく、腎臓病、糖尿病、クッシング症候群などでも起こります。変化を主治医へ伝えてください。
水分制限は指示がある場合だけ
特殊な状態で個別の水分管理が必要になることはありますが、家庭で一律に水を取り上げません。脱水すると血液循環と腎臓に負担がかかります。
ウェットフード
ウェットフードは食事と一緒に水分を取れる利点があります。心臓病用の製品や病気に合う総合栄養食かを確認し、ドライへ追加する場合は総カロリーを調整します。
主治医に、1日の飲水量で連絡すべき目安と、利尿薬を飲んでいる日に水を飲めない場合の対応を確認しておきましょう。
体重と筋肉を守る
心臓病では肥満も痩せすぎも問題になります。体重の数字だけでなく、体脂肪と筋肉を別々に評価します。
肥満
余分な体重は呼吸や運動の負担になります。減量が必要なら、通常食を大幅に減らして栄養不足にするのではなく、必要なタンパク質やビタミン・ミネラルを確保できる食事を使います。
急な運動で減量させず、心臓の病期と気温に合う散歩量を主治医へ確認します。
心臓性悪液質
進行した心臓病では、体重と筋肉が減る心臓性悪液質が問題になることがあります。食欲低下、炎症、代謝の変化などが関係し、予後や生活の質へ影響します。
高カロリーのおやつだけを増やすのではなく、吐き気や呼吸困難を治療し、食べやすい完全な食事と適切なタンパク質を確保します。
筋肉を評価する
背中、腰、肩、頭部の筋肉を定期的に見ます。体重が変わらなくても、筋肉が減り脂肪が増える場合があります。
食事量、体重、写真、歩行の変化を記録し、診察でボディコンディションとマッスルコンディションを評価してもらいます。
食欲低下へ対応する
心臓病の犬が食べないとき、偏食と決めつけず、呼吸困難、薬の副作用、腎機能、吐き気、口の痛みなどを確認します。
受診を急ぐ食欲低下
- 呼吸が速い、苦しそう
- 横になれない、夜も落ち着かない
- 咳が急に増えた
- ぐったり、倒れる
- 水も飲めない、繰り返し吐く
- 歯ぐきや舌が白い・青い
- 腹部が張る
食事を工夫する前に動物病院へ連絡します。呼吸が苦しい犬へ無理に食べさせると負担と誤嚥の危険があります。
ペットの体調や薬で悩んだときは?
ペットの体調に異変があると、「すぐに病院へ行くべき?」「少し様子を見ても大丈夫?」と対応に悩むことがあります。
呼吸が苦しそう、けいれんしている、意識がおかしい、強い痛みがあるなど、緊急性が疑われる場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
一方で、緊急性が低く、受診すべきか迷っている場合や、薬・予防・日常の健康管理について確認したい場合は、オンラインで獣医師へ相談する方法もあります。
ペットくすりでは、獣医師への無料相談サービスを利用できます。
ちょっとした疑問や受診前に確認しておきたいことがある場合は、相談してみましょう。
※オンライン相談は、動物病院での診察・検査・治療に代わるものではありません。症状が強い場合や悪化している場合、診察や検査が必要と思われる場合は、動物病院への受診を優先しましょう。
香りと回数を工夫する
体調が安定し経口摂取が安全なら、ウェットフードを人肌程度に温める、1日量を少量ずつ複数回に分ける方法があります。
塩分の多い肉汁、チーズ、加工肉で食いつきを上げないでください。病気に合うトッピングを主治医と決めます。
投薬用食品を固定する
薬をチーズやハムへ包む習慣は塩分とカロリーを増やします。主食の一部、低ナトリウムの投薬用製品など代替を相談します。
食べないときに薬をどうするか、錠剤を砕いてよいか、吐いた後に再投与するかは薬ごとに異なります。自己判断せず処方した病院へ連絡します。
心臓用療法食の使い方
心臓用療法食は、ナトリウム、カリウム、エネルギー、タンパク質、脂肪酸などを目的に合わせて調整しています。すべての心臓病犬へ同じ製品を使うわけではありません。
病期と併発疾患で選ぶ
腎臓病、膵炎、食物アレルギー、肥満などがあれば、どの病気を優先するか調整が必要です。心臓と腎臓の両方に問題がある犬では、極端な制限が食欲や腎機能へ影響する場合があります。
サプリメントは目的を整理して選びましょう
ペット用サプリメントには、関節や皮膚・被毛、腸内環境などさまざまな目的の商品があります。あくまで日々の健康管理を補助するものとして考え、体調に不安がある場合は獣医師へ相談しましょう。
段階的に変更する
緊急の指示がなければ、旧フードへ少しずつ混ぜ、数日から1週間ほどかけて切り替えます。便、嘔吐、食欲を記録します。
おやつを含める
療法食の1日量だけでなく、おやつ、歯みがきガム、投薬用食品、サプリメントを含めて評価します。家族が別々に与えないよう一日分を管理します。
電解質と薬の関係
利尿薬や心臓病の薬を使うと、腎機能やカリウム、ナトリウムなどの変化を定期的に確認する必要があります。
カリウム
薬の種類や腎機能により、カリウムが低くなる場合も高くなる場合もあります。脱力、ふらつき、食欲低下などが起こることがありますが、症状だけで判断できません。
バナナやサプリメントで自己補給せず、血液検査に基づいて調整します。
腎機能
利尿薬は肺の水分を減らすために重要ですが、脱水や腎機能へ影響することがあります。薬を自己判断で減らしたり、水を制限したりせず、飲水、尿量、食欲、体重を記録します。
サプリメント
魚油などが補助として提案される場合がありますが、EPA・DHA量、カロリー、薬との関係を確認します。ハーブや人用の心臓サプリは安全性が保証されず、カリウムなどを含む場合があります。
処方薬の代わりに使わず、全成分を主治医へ伝えます。

家庭で呼吸を記録する
心臓病の犬では、安静時・睡眠時の呼吸数が悪化の早期発見に役立ちます。食事記録と一緒に毎日の変化を追います。
睡眠時呼吸数
犬が眠っていて、夢を見て動いていないときに、胸が上がって下がる動きを1回として数えます。病院から具体的な基準を教わり、普段より増えた状態が続く場合は連絡します。
数値だけでなく、呼吸の努力、咳、横になれるか、舌や歯ぐきの色も見ます。苦しそうなら計測を続けず受診します。
体重の急増
腹水などで体重が急に増える場合があります。食事量が同じなのに数日で増える、腹部が張る、呼吸が悪化する場合は相談します。
毎日の記録項目
- フード名と1日のグラム数
- おやつ、投薬用食品、サプリメント
- 食欲と実際に食べた量
- 飲水量と尿量
- 薬の量と時刻
- 睡眠時呼吸数
- 咳、失神、活動性
- 体重、体型、筋肉
運動と食事のタイミング
心臓病でも、病期に合う範囲での活動は筋肉と生活の質を支えます。完全な安静が必要か、散歩を続けてよいかは主治医へ確認します。
暑さと湿度は心臓・呼吸へ負担です。涼しい時間に短く歩き、息が整わない、立ち止まる、舌の色が変わる場合は中止します。食後すぐの激しい運動も避けます。
散歩をおやつで促す場合、そのカロリーとナトリウムを合計します。主食の粒を使う方法が管理しやすいです。
心臓病の食事のFAQ
- 心雑音があればすぐ減塩食ですか?
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心雑音の原因と病期によります。症状や心拡大がない段階では、極端な制限が不要な場合があります。画像検査などで評価し、主治医の指示に沿ってください。
- チーズで薬を飲ませてもよいですか?
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チーズは塩分、脂肪、カロリーが多く、毎日の投薬には不向きな犬がいます。少量を使えるか、主食や別の投薬用食品へ替えるかを処方した病院へ相談します。
- 水をたくさん飲むので制限しますか?
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自己判断で制限しません。利尿薬で飲水・排尿が増えることがあり、水を減らすと脱水と腎機能悪化の危険があります。量を記録して主治医へ伝えます。
- 心臓に良い食材はありますか?
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一つの食材で心臓病を治療することはできません。病期に合う総合栄養食または療法食を土台に、適正体重、筋肉、薬、運動を総合的に管理します。
- 咳が増えたら食事を変えますか?
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咳は心不全だけでなく気管・肺の病気などでも起こります。呼吸数増加、苦しさ、元気低下を伴う場合は食事変更より受診を優先します。
病期と薬に合わせる
心臓病の犬の食事管理は、心雑音だけで一律に決められません。僧帽弁閉鎖不全症の病期、心不全歴、腎機能、電解質、薬、体重、筋肉、食欲を合わせて考えます。
人の加工食品や塩分の多いおやつを避けることは大切ですが、自己判断で水やナトリウムを極端に制限しないでください。総合栄養食または指示された療法食を適量与え、投薬用食品も一日の食事へ含めます。
睡眠時呼吸数、咳、食欲、飲水、尿量、体重を記録します。呼吸が苦しい、横になれない、舌が青い、倒れる場合は緊急です。食事より呼吸と治療を優先し、その時点の病状に合う管理を主治医と見直しましょう。

