犬をサロンへ連れて行こうと料金表を見ると、「シャンプーコース」と「トリミングコース」が並び、どちらを選べばよいか迷うことがあります。シャンプーコースでも爪切りや足裏の処理を含む店がある一方、トリミングコースは全身カットまで含むのが一般的です。
ただし、呼び方と内訳は店舗ごとに異なります。犬種、毛の伸び方、汚れ、毛玉、生活上の困りごとに合わせ、必要な工程が入ったコースを選ぶことが大切です。毎回全身カットが必要な犬もいれば、シャンプーと部分ケアだけで十分な犬もいます。
この記事では、2つのコースの違いを工程から整理し、所要時間、料金、追加費用、自分の犬に合う選び方を解説します。
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- シャンプーとトリミングに含まれる工程の違い
- 犬種や被毛から必要なコースを判断する方法
- 小型犬から大型犬までの時間と料金の目安
- 毛玉やオプションで料金が変わるポイント
最も大きな違いはカット
サロンの一般的な区分では、全身の被毛を切り整えるかどうかが大きな違いです。
シャンプーコースは、洗浄、すすぎ、乾燥を中心に、基本的な身だしなみのケアを組み合わせます。トリミングコースは、その内容に全身カットを加えます。店によっては「シャンプー&カット」「カットコース」と表記します。
| 比較項目 | シャンプーコース | トリミングコース |
|---|---|---|
| 洗浄・すすぎ・乾燥 | 基本的に含む | 基本的に含む |
| 爪切り・耳・肛門腺 | 含む店が多い | 含む店が多い |
| 足裏・足回り | 含む場合が多い | 含む場合が多い |
| 全身カット | 通常は含まない | 含む |
| 所要時間 | 比較的短い | 比較的長い |
| 料金 | 比較的低い | 比較的高い |
「含む店が多い」としているのは、統一された全国共通ルールがないためです。爪切りが基本料金に含まれない店、シャンプーコースでも顔周りの軽いカットを含む店、足先バリカンを追加料金とする店があります。予約時にはコース名ではなく内訳を確認してください。
グルーミングとの関係
グルーミングは、被毛だけでなく爪、耳、口、皮膚など、体を清潔で健康的に保つ手入れ全般を指します。狭い意味のトリミングは毛を切り整える作業ですが、日本のサロンでは、全身カットを含む一連のサービスを「トリミング」と呼ぶことが一般的です。
そのため、店のサイトに「グルーミングコース」と書かれていたら、シャンプーコース相当なのか、カットまで含むのかを料金表で確かめます。用語だけで判断すると必要なケアが抜ける可能性があります。
シャンプーの工程
シャンプーコースは、ただ毛を濡らして洗うだけではありません。安全に乾かし、皮膚と被毛を確認するところまでが重要です。
施術前の確認
最初に体調、皮膚、毛玉、傷、耳、爪、苦手な作業などを確認します。犬種と体重だけでなく、持病、服薬、過去の発作や咬傷、前回の施術後の変化も伝えます。
赤み、強いかゆみ、脱毛、しこり、耳の強いにおいなどが見つかっても、トリマーは診断や治療を行えません。状態によっては施術を中止し、動物病院への相談を勧められます。
ブラッシングと予洗い
洗う前に抜け毛や軽いもつれを確認し、被毛へ湯を行き渡らせます。毛玉が水分を含むと締まり、乾燥に時間がかかることがあるため、状態に応じて事前に処理します。
皮膚へ密着した毛玉を無理にとかすと痛みや赤みの原因になります。広い範囲に毛玉がある場合は、シャンプーコースでは対応できず、短く刈るカットコースや追加作業が必要になることがあります。
洗浄とすすぎ
犬の皮膚・被毛に適した製品を使い、汚れと皮脂を落とします。目や耳へ入らないよう配慮し、製品が残らないよう十分にすすぎます。皮脂を落としすぎる洗い方や、人用製品の自己判断での使用は避けます。
皮膚疾患の治療目的で薬用シャンプーを使う場合は、製品、濃度、接触時間、頻度について獣医師の指示を優先してください。美容用の保湿オプションと治療は別です。
乾燥と仕上げ
タオルとドライヤーで根元まで乾かします。生乾きは蒸れやにおいにつながりやすく、毛玉や皮膚の異常も見つけにくくなります。毛量が多い犬、ダブルコート、大型犬は乾燥に時間がかかります。
基本コースでは、爪切り、耳の確認・清掃、足裏や足回り、肛門腺のケアなどを前後の工程で行います。ただし犬が強く嫌がる場合や体調リスクがある場合は、安全のため中止することがあります。
カットで追加される工程
トリミングコースでは、シャンプーで清潔にして毛を伸ばした後、希望と被毛に合わせて全身を切り整えます。
バリカン仕上げ
バリカンは一定の長さにそろえやすく、はさみだけの仕上げより時間と料金を抑えられる場合があります。何mmの刃を使うかだけでなく、皮膚から実際にどの程度の長さが残るかを確認しましょう。
短くすれば手入れが不要になるわけではありません。極端に短いと紫外線や摩擦の影響を受けやすくなり、犬種や個体によっては被毛がそろいにくくなることもあります。皮膚状態と毛質を見て、トリマーと相談してください。
はさみ仕上げ
全身をはさみで整える方法は、自然な輪郭やふんわりした質感を作りやすい一方、技術と時間が必要です。全身はさみ仕上げを追加料金とする店があります。
トイ・プードルの顔や足、ビション・フリーゼの丸い輪郭など、デザイン性の高いカットも施術時間と料金が増える傾向があります。写真を見せるときは、同じ犬種でも毛量、骨格、毛質で同じ仕上がりにならないことを理解しましょう。
部分カット
全身カットが不要な犬でも、目元、口元、足裏、肛門周り、おなか、飾り毛だけを整える方法があります。汚れや滑りなど具体的な困りごとを解消でき、切りすぎを避けられます。
シャンプーコースへ部分カットを追加する店と、一定数以上の部位を切るとカットコース扱いになる店があります。必要な箇所を伝え、どちらの料金になるか確認してください。

被毛からコースを選ぶ
体の大きさより、毛が伸び続けるか、抜け替わるか、もつれやすいかを基準に考えます。
毛が伸び続ける犬種
トイ・プードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、ビション・フリーゼなどは、毛が伸び続け、目や口を覆ったり、毛玉になったりしやすい犬種です。一般に4〜8週間程度を一つの目安として、シャンプーと全身カットを組み合わせます。
毎回同じコースである必要はありません。前回短く整え、まだ生活上の問題がないなら、途中でシャンプーコースと顔・足の部分ケアを利用し、次回に全身カットをする方法もあります。家庭でブラッシングできる程度と、希望する長さで調整します。
短毛の犬種
スムースコート・チワワ、パグ、フレンチ・ブルドッグ、ラブラドール・レトリーバーなどは、通常、毛を伸ばしてデザインする全身カットを必要としません。汚れ、抜け毛、皮膚、爪、耳、足裏などを管理するシャンプーコースが中心です。
短毛でも抜け毛が少ないとは限りません。また、顔や体にしわがある犬は、湿気や汚れが残らないよう管理が必要です。シャンプーの頻度を増やす前に、におい、赤み、べたつきが病気によるものではないか動物病院へ相談する場合もあります。
ダブルコートの犬種
柴犬、ポメラニアン、コーギー、シェルティなどは、上毛と下毛があり、季節により抜け毛が増えます。全身を定期的に短く切るより、シャンプーと十分な乾燥、抜け毛処理が中心です。
暑そうだからと極端に刈ると、皮膚を守る働きが弱まり、毛質や生えそろいに影響する可能性があります。暑さ対策は室温、水分、散歩時間、体重管理を基本にし、カットする場合は被毛タイプに詳しいトリマーへ相談します。
ミックス犬
ミックス犬は、外見が片方の親犬種に似ていても、毛の伸び方、下毛、毛玉のできやすさが同じとは限りません。実際の被毛を見て、前回からどれくらい伸びたか、ブラシに抜け毛が付くか、根元にもつれがあるかを判断します。
初回は犬種名だけで料金が決まらず、体重と毛量で見積もられることがあります。全身写真、体重、最後に切った日を伝えると相談しやすくなります。
「見た目を短くしたい」だけでなく、「目に入る」「足裏で滑る」「排泄物が付く」など生活上の困りごとを伝えると、全身カットか部分ケアかを選びやすくなります。
所要時間の目安
シャンプーは1〜2時間、全身カットを含むトリミングは2〜3時間程度が一つの目安です。中型・大型犬や毛量の多い犬では、さらに長くなることがあります。
体格と毛量
大きい犬ほど洗う面積が広く、すすぎと乾燥に時間がかかります。同じ体重でも、短毛犬と密なダブルコートでは乾燥時間が違います。抜け毛が多い時期は、風を当てながら下毛を除く工程も増えます。
小型犬でも、ビション・フリーゼのように毛量が多い犬、長いスタイルを保つ犬、毛玉のある犬は時間がかかります。体が小さいから必ず短時間とは限りません。
スタイルと技法
全身バリカンで一定の長さにするスタイルと、はさみで輪郭を細かく作るスタイルでは作業量が異なります。顔のデザイン、足先、飾り毛など指定が多いほど、相談と施術に時間が必要です。
「短くお任せ」にすれば必ず早いわけでもありません。皮膚のたるみやしわ、毛玉を避けながら安全に刈る必要があり、犬が動けば休憩や保定も必要です。
犬の体調と性格
高齢犬、立位が難しい犬、音や風を怖がる犬は、休憩を入れて進めるため時間が延びることがあります。安全のため複数人で対応したり、途中で中止したりする場合もあります。
受付から返却までの滞在時間は、実作業時間とは別です。複数頭を順番に行う店、施術後に預かる店では長くなります。予約時に「施術時間」と「お迎え可能時刻」を分けて聞きましょう。
料金の目安
料金は地域と店舗で差がありますが、犬種とコース別の大まかな幅を知っておくと見積もりを比較できます。
小型犬では、シャンプーコースが3,000〜6,000円程度、カットコースが5,000〜10,000円程度が一つの目安です。中型犬のシャンプーは5,000〜9,000円程度、カットは7,000〜12,000円程度、大型犬のシャンプーは8,000〜15,000円以上になる例があります。スタンダード・プードルなど大型で全身カットが必要な犬種は、2万円を超えることもあります。
これは全国一律の定価ではありません。都市部、1頭ずつ対応するサロン、動物病院併設、使用製品、スタッフ体制によって変わります。必ず利用予定の店の最新料金を確認してください。
犬種料金の考え方
犬種別料金は、標準的な体格、毛量、乾燥時間、カット工程をもとに設定されています。同じ犬種でも標準より大きい、毛量が多い場合は加算されます。ミックス犬は似た犬種か体重区分で決める店があります。
料金表に「〜」とあるときは最低価格です。自分の犬がその金額になるとは限らないため、概算と変動条件を聞きます。
追加料金の例
次の作業や状態は追加料金になりやすい項目です。
- 毛玉、もつれ、大量の抜け毛
- 標準を超える体格や毛量
- 全身はさみ仕上げ、デザインカット
- 足先バリカン、複数箇所の部分カット
- 保湿、炭酸泉、歯磨きなどのオプション
- 2人での保定が必要な状態
- 送迎、長時間の預かり、指名
毛玉料金は部位制、時間制、程度別など店によって違います。追加の可能性があるときは、作業前に連絡するか、上限額を決められるか確認しましょう。
過不足のない選び方
必要な工程だけを選ぶと、犬の負担と費用の両方を抑えやすくなります。
現在の困りごとを確認
予約前に、次の状態を観察します。
- 毛が目や口へ入っている
- 足裏の毛で滑っている
- 排泄物が毛へ付きやすい
- 根元にコームが通らない
- 抜け毛が増えている
- 爪が床へ当たる
- 皮膚に赤み、フケ、においがある
毛の長さによる問題ならカットや部分ケア、汚れや抜け毛が中心ならシャンプーコースが候補です。赤み、痛み、脱毛、急なにおいの変化がある場合は、美容コースを選ぶ前に動物病院へ相談します。
コース内訳を確認
店へは、犬種、年齢、体重、被毛、毛玉、持病、希望を伝えます。そのうえで、基本料金に爪切り、耳、足裏、肛門腺が含まれるか、全身カットの方法、追加料金を聞きます。
シャンプーコースへ複数の部分カットを足すより、カットコースのほうが安い場合があります。反対に、全身を切る必要がないのにカットコースを選ぶと、時間と費用が増えます。総額で比べてください。
家庭ケアとの分担
家庭で安全にできるブラッシング、目元を拭く、足を触る練習などを続けると、毛玉と施術ストレスを減らせます。ただし、根元へ密着した毛玉をはさみで切ること、動く犬の爪を無理に切ることは危険です。
サロンに通っていても、次回まで何もしなくてよいわけではありません。反対に、家庭ケアができるからプロの確認が不要というわけでもありません。犬と飼い主が安全にできる範囲を分担しましょう。
皮膚や被毛に合ったケア用品を選びましょう
シャンプーやブラシは、犬種・猫種や毛質、皮膚の状態によって適したものが異なります。刺激の強さや使用頻度にも注意し、無理のないケアを続けましょう。
予約時の確認リスト
初めての店では、料金だけでなく受付条件と安全対応も確認します。
- 狂犬病予防注射・混合ワクチンの証明は必要か
- 子犬、高齢犬、持病のある犬の受付条件
- 苦手行動や咬傷歴がある場合の対応
- 毛玉、体重、毛量、保定の追加料金
- 体調変化時の連絡と施術中止基準
- お迎え時刻、遅れた場合の預かり料金
- キャンセルや日程変更の条件
希望スタイルは写真で共有しつつ、毛の長さを「何cm残す」「バリカンは何mm相当」など具体的に確認します。同じ「短め」でも認識は違います。耳、尾、顔、足など部位ごとの希望を伝えてください。
施術後は、会計明細だけでなく、皮膚、耳、爪、毛玉について何か気づきがあったか聞きます。帰宅後に強い赤み、痛み、歩き方の変化、元気消失があれば、サロンへ状況を伝え、必要に応じて動物病院へ相談します。
自宅で難しいケアはプロへお願いする方法もあります
カットや爪切り、シャンプーなど、自宅では難しいお手入れを専門家へ任せることもできます。ペットの性格や体調に合わせて利用しましょう。
コース選びのよくある質問
- シャンプーコースに爪切りは含まれますか?
-
含む店が多いものの、全国共通ではありません。耳掃除、足裏、肛門腺などとセットの場合も、すべて別料金の場合もあります。予約する店のコース内訳を確認してください。
- シャンプーだけなら何時間ですか?
-
小型犬で1〜2時間程度が目安です。大型犬、毛量の多い犬、抜け毛や毛玉がある犬、休憩が必要な犬は長くなります。店での滞在時間は順番待ちを含むことがあるため、お迎え時刻も確認しましょう。
- 毎回カットが必要ですか?
-
毛が伸び続ける犬種でも、前回の長さ、家庭ケア、生活上の問題によっては、途中をシャンプーと部分カットにする方法があります。短毛犬やダブルコートは、定期的な全身カットを必要としないことが一般的です。
- シャンプーとカットの値段はいくら違いますか?
-
小型犬では、カットコースがシャンプーコースより2,000〜4,000円ほど高い例が多く見られますが、犬種、地域、スタイルで差は変わります。追加料金とコース内訳を含む総額で比べてください。
- 毛玉があってもシャンプーだけでよいですか?
-
小さなもつれなら事前処理で対応できる場合がありますが、広範囲や皮膚へ密着した毛玉は、洗う前に短く刈る必要があります。無理にほどくと痛みや皮膚の損傷につながるため、状態を見てもらい、カットコースや安全な処理を相談してください。
必要な工程だけを選ぶ
シャンプーコースとトリミングコースの最も大きな違いは、全身カットを含むかどうかです。ただし、爪切り、耳、足裏、肛門腺、部分カットの扱いは店ごとに異なるため、名称だけで選べません。
所要時間はシャンプーで1〜2時間、全身カットで2〜3時間程度、小型犬の料金はシャンプー3,000〜6,000円、カット5,000〜10,000円程度が一つの目安です。体格、毛量、毛玉、スタイル、犬の体調で変わります。
毛が伸び続ける犬は全身カット、短毛やダブルコートはシャンプーと抜け毛・部分ケアを中心に考えます。あなたの犬の被毛と現在の困りごとを整理し、基本コースの内訳と追加料金を確認して、過不足のない内容を選びましょう。

