「猫又になるのは一体何歳からなんだろう?」そんな素朴な疑問から、猫又とはどんな存在か、化け猫との違い、二股に分かれたしっぽの謎や不思議な能力について興味が湧きますよね。
そもそも猫は何年で猫又になるのか、そして猫又は実在するのかという疑問も尽きません。
一方で、現代の愛猫家にとっては、猫又になってほしいという願いは、自分の猫が一体何歳まで生きるのかという切実な関心事でもあります。
特に、長寿の大きな壁とされる猫の19歳の壁を前に、愛猫の体重管理や健康状態は気になるところです。
猫の20歳が人間年齢で何歳にあたるのかを知れば、その大切さが一層わかるはずです。
この記事では、猫又と何歳というテーマを軸に、伝説から現代の長寿猫のリアルまで、これらの疑問を一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。
- 猫又の伝説や化け猫との違い
- 現代の猫の平均寿命と「19歳の壁」
- 長寿猫の健康管理と人間年齢との比較
- 「猫又になってほしい」という言葉の本当の意味
猫又の伝説、一体何歳で化けるのか?

古くから日本で語り継がれてきた猫又の伝説。
そこでは、猫が特別な存在になる「年齢」が重要な意味を持っていました。
- 猫又とは?化け猫との違いを解説
- 猫又の伝承で語られるしっぽの特徴
- 逸話にみる猫又の不思議な能力
- 猫は何年生きると猫又になるのか?
- 猫又は本当に実在する?
猫又とは?化け猫との違いを解説

猫又(ねこまた)とは、長い年月を生きた猫が霊力を得て変化したとされる、日本の妖怪の一種です。
同じく猫の妖怪である「化け猫」としばしば混同されますが、その背景には少し違いが見られます。
化け猫は、強い怨念を抱いたり、特定の場所で血を舐めたりといった、何らかのきっかけで怪異をなすようになった猫の総称です。
これに対して猫又は、特別なきっかけがあったわけではなく、ただひたすらに長い年月を生き抜いた結果、自然に霊的な力を宿し、妖怪へと転じた存在だと考えられています。
鎌倉時代の書物『明月記』などでは、山奥に潜み人に襲いかかる巨大な獣として登場しますが、時代が下って江戸時代になると、人々の身近な存在である飼い猫が年老いて化ける、というイメージが広く定着しました。
いずれにしても、単なる怪異というよりは、長寿の末に得た威厳や神秘性を感じさせる存在と言えるかもしれません。
猫又の伝承で語られるしっぽの特徴

猫又を他の猫や化け猫から見分ける、最も象徴的な特徴がその尻尾です。
古くからの言い伝えでは、猫又の尻尾は付け根から二股に分かれているとされています。
この「股が分かれた」という見た目が、「ねこまた」という名前の直接的な語源になったという説が有力です。
江戸時代中期の有職家、伊勢貞丈が記した『安斎随筆』にも、「数歳のネコは尾が二股になり、猫またという妖怪となる」という記述がはっきりと残っています。
もちろん、これは伝説上の話ですが、なぜこのような特徴が生まれたのかについては諸説あります。
例えば、非常に長生きした猫の背中の皮が、加齢でたるんで剥がれ落ち、垂れ下がった様子がまるで尻尾が増えたかのように見えたためではないか、とも推測されています。
逸話にみる猫又の不思議な能力

長い時を経て人知を超えた存在となった猫又は、様々な不思議な能力を持つと伝えられています。
最も基本的な能力は、人間の言葉を完全に理解することです。
さらに、自らも人語を巧みに操り、ときには流暢な会話さえしたといわれます。
また、後ろ足でスッと立ち上がり、人間のように二本足で歩く姿も多くの絵巻物で描かれました。
より強力な猫又になると、人に化けて悪事を働いたり、人をたぶらかしたりすることもあったとされます。
特に有名なのが、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に描かれた、三味線を奏でる猫又の姿です。
当時、三味線の胴には猫の皮が使われていたため、これは殺された同族を弔う悲しい調べなのか、それとも人間社会を嘲笑う不気味な宴なのか、見る者の想像をかき立てる逸話として語り継がれています。
猫は何年生きると猫又になるのか?

伝承において、猫が猫又に化けるまでの年数に、厳密に定められたものはありません。
しかし、多くの物語では「20年前後」という、非常に長い年月が一つの目安として示唆されています。
なぜ「20年」という数字が頻繁に登場するのか。
それは、昔の猫の平均寿命が現代とは比べ物にならないほど短かったからです。
正確な記録は乏しいですが、栄養状態や衛生環境、医療の未発達を考えると、数年生きられれば良い方だったと推測されます。
そのような環境下で、20年もの歳月を生き抜く猫がもし現れたとしたら、人々がその存在に驚き、「もはや普通の猫ではない。
神聖な、あるいは恐ろしい妖怪になったに違いない」と考えたとしても、何ら不思議はありません。
このように、猫又の物語は、当時としてはまさに驚異的であった「猫の長寿」に対する、人々の畏敬の念から生まれたものと考えられるのです。
猫又は本当に実在する?

言うまでもなく、猫又はあくまで伝承や物語の中に登場する架空の存在であり、現実の世界に妖怪として実在するわけではありません。
しかし、その伝説が生まれるきっかけとなった「並外れて長生きした猫」は、どの時代にも確かに存在したでしょう。
猫の持つ、暗闇で爛々と光る瞳、音もなく動くしなやかさ、何を考えているか分からないミステリアスな雰囲気。
こうした猫ならではの性質が、人々の想像力を強く刺激し、長寿という要素と結びつくことで、猫又という魅力的で少し怖い妖怪像を創り上げていったのです。
言ってしまえば、猫又の伝説は、昔の飼い主が抱いていた「ここまで長く生きてくれるとは、もはや普通の猫ではない」という、愛猫への深い驚きと愛情が形を変えたものなのかもしれません。
そして、その感覚は現代の私たちにも確かに通じるものがあります。
猫又は何歳から?現代の長寿猫

伝説の世界から一転して、現代に目を向けてみましょう。
かつては妖怪として語られるほど稀有だった「ご長寿猫」は、今や決して特別な存在ではなくなりました。
- 猫又のように猫は何歳まで生きるのか
- 長寿の境界線、猫の「19歳の壁」
- 19歳を迎えた猫の体重と健康管理
- 猫の20歳は人間年齢にすると何歳?
- 「猫又になってほしい」という飼い主の願い
猫又のように猫は何歳まで生きるのか

ここ数十年で、猫の平均寿命は大きく延びています。
その背景には、獣医療の進歩に加えて、年齢や体調に応じて設計された栄養バランスの良いペットフードの普及が挙げられます。
一般社団法人ペットフード協会が発表した「2024年 全国犬猫飼育実態調査」によると、猫全体の平均寿命は15.79歳に達しています。
注目すべきは、2010年の平均寿命が14.36歳だったこと。わずか十数年で1年以上の寿命延伸が見られたのです。
この平均寿命はあくまで一つの目安にすぎません。実際には、20歳を超えて元気に過ごす猫も少なくなく、中には30歳を超える長寿記録も存在します。
つまり、猫の長寿はもはや特別な話ではなく、日々のケアと環境次第で十分目指せる現実的な未来となってきているのです。
参考 2024年 全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)
長寿の境界線、猫の「19歳の壁」

しかし、猫の長寿化が進む一方で、ある特定の年齢を超えると生存が著しく難しくなる、一種の「壁」が存在することも指摘されています。
それが「19歳の壁」と呼ばれる現象です。
これは、ご長寿猫への取材を専門に行うメディアが、116匹の取材対象猫の年齢をグラフ化した際にも顕著に表れました。
15歳から18歳までは比較的多くの猫が確認されるものの、19歳になるとその数がガクンと減り、一桁になってしまうのです。
メディアとしては、より高齢の猫を取材したいはずなのに、その数が極端に少ないという事実は、「19歳の壁」がいかに高く険しいものであるかを示唆しています。
平均寿命を優に超え、元気に過ごしてきた猫たちにとっても、19歳という年齢は身体的に非常に大きな試練の時であり、この壁をどう乗り越えさせるかが、現代の猫の長寿を願う上での一つの大きなテーマとなっています。
19歳を迎えた猫の体重と健康管理

19歳の壁を目前にした、あるいは超えた猫は、人間でいえば90歳をゆうに超える大変な高齢期に入ります。
若い頃のような体力はすでになく、免疫力や自己治癒能力も大きく低下しているため、日々の丁寧な健康管理が何よりも大切になります。
この時期に特に注意したいのが、様々な病気の発症です。
腎不全、甲状腺機能亢進症、心筋症、高血圧、がんといった高齢猫に多い病気は、若い頃に比べて重篤化しやすく、また複数の病気を併発することも珍しくありません。
また、加齢に伴う筋肉量の低下(サルコペニア)が進むことで、体重が減少し、動くこと自体が億劫になりがちです。
これにより、さらに体力が落ちるという悪循環に陥る危険もあります。
若い頃なら可能だった外科手術も、麻酔のリスクや術後の回復力を考えると、選択が難しくなるケースがほとんどです。
そのため、病気にさせないための予防的なケア、具体的には食事管理、ストレスのない環境づくり、そして何よりも定期的な健康診断で病気の兆候を早期に発見することが、この時期の猫の生活の質を支える鍵となります。
猫の20歳は人間年齢にすると何歳?

猫の20歳が、人間の年齢では一体何歳くらいに相当するのかを知ることは、その心身の状態を理解する上で非常に役立ちます。
換算方法は様々ですが、一般的には以下の表のように考えられています。
猫の年齢 | 人間の年齢(目安) |
---|---|
15歳 | 76歳 |
16歳 | 80歳 |
17歳 | 84歳 |
18歳 | 88歳 |
19歳 | 92歳 |
20歳 | 100歳 |
このように、猫の20歳は人間の100歳、つまり百寿に相当する、大変な長寿であることがわかります。
日本の女性の平均寿命が87.09歳、男性が81.05歳(2022年時点)ですから、それを遥かに超えるほどの時間を生きていることになります。
20年間という長い歳月は、飼い主との深い絆の証です。
しかし同時に、その体は様々な問題を抱えながら、懸命に日々を過ごしている状態であることを深く理解し、最大限の敬意と愛情を持って接してあげることが大切です。
「猫又になってほしい」という飼い主の願い

前述の通り、かつて猫又は人々に恐れられる妖怪でした。
しかし、現代の愛猫家たちが使う「猫又になってほしい」という言葉は、その意味合いが大きく変化しています。
これは決して「化け物になってほしい」というネガティブな願いではありません。
むしろ、「伝説上の猫又のように、常識では考えられないほど長生きして、一日でも長く、一秒でも長くそばにいて私たちを惑わしてほしい」という、これ以上ないほどの深い愛情を込めた、ポジティブな願いの言葉なのです。
実際に、ご長寿猫を専門に取材するウェブサイトが「猫又トリップ」と題して連載を持つなど、猫又は「長寿で賢い猫」の愛すべきシンボルとして、多くの飼い主に親しまれる存在になっています。
伝説への畏敬の念が、時代を経て、愛猫への深い愛情と長寿への祈りに昇華した、美しい言葉と言えるでしょう。
猫又には何歳でなる?疑問を総括

この記事では、猫又の伝説から現代の猫のリアルな寿命まで、様々な角度から「猫又と年齢」の問題を掘り下げてきました。
最後に、本記事の要点をまとめます。
- 猫又は年老いた猫が霊力を得て変化したとされる日本の妖怪
- 化け猫とは異なり長い年月を経て自然に変化した存在
- 猫又の最も有名な特徴は二股に分かれた尻尾
- 人の言葉を理解し二本足で歩くなどの能力を持つとされた
- 伝承ではおよそ20年生きた猫が猫又になると考えられていた
- 昔の猫の寿命が極端に短かったことが伝説の背景にある
- 現代の猫の平均寿命は15.66歳で長寿化が進んでいる
- 獣医療の進歩と高品質なフードが長寿化を支えている
- 長寿猫にとって大きな関門となる「19歳の壁」が存在する
- 19歳を境に生存率が大きく低下するデータが示されている
- 高齢猫は腎不全や心臓病など複数の病気に注意が必要
- 猫の20歳は人間年齢で約100歳という大変な高齢期にあたる
- 現代の「猫又になってほしい」という言葉は長寿への切なる願い
- 長寿猫への敬意と愛情が「猫又」という言葉に込められている
- 猫又の謎は現代の私たちに愛猫と暮らす日々の尊さを教えてくれる