「グリフォン」と呼ばれる犬には複数の犬種があり、同じ犬種内でも被毛タイプが分かれることがあります。そのため、犬種名だけを見て一律にバリカンをかけたり、すべての犬へプラッキングを行ったりするのは適切ではありません。まず愛犬がブリュッセル・グリフォンのラフコートかスムースコートか、ワイヤーヘアード・ポインティング・グリフォンなど別犬種なのかを確認する必要があります。
基本は、毛質、皮膚の状態、家庭犬かショードッグか、飼い主が維持できる手間に合わせて方法を選ぶことです。ワイヤーコートでは硬い上毛を保つためのハンドストリッピングが選ばれる場合がありますが、専門技術が必要で、すべての家庭犬に必須ではありません。
知りたいペット・動物情報を探す
食事・健康・しつけ・品種・暮らしなど、テーマ別に情報をまとめています。
ペット・動物ガイドから探す →
- グリフォンと呼ばれる犬種・被毛タイプの違い
- ラフコートとスムースコートの日常ケア
- プラッキングの目的とクリッピングとの違い
- サロン頻度、顔周り、皮膚の注意点
最初に犬種と毛質を確認
グリフォンのトリミングは、名前の似た犬種を区別し、実際の被毛を見て決めます。
ブリュッセル・グリフォン
ブリュッセル・グリフォンにはラフコートとスムースコートがあります。AKCの犬種紹介でも、ラフは硬く粗い被毛、スムースは短く密着した滑らかな被毛として区別されています。
ラフコートは、硬い上毛と特徴的なひげ・眉を生かすならハンドストリッピングが候補です。家庭犬では体をクリッパーで短くし、顔の飾り毛を残す方法も選ばれます。スムースコートは全身カットを通常必要とせず、ブラッシングとシャンプー、爪などの基本ケアが中心です。
ポインティング・グリフォン
ワイヤーヘアード・ポインティング・グリフォンは、中型の猟犬で、ブリュッセル・グリフォンとは体格も被毛管理も異なります。硬い上毛と柔らかいアンダーコートを持ち、週単位のブラッシング、足と耳周りの部分カット、必要に応じたハンドストリッピングを行います。
AKCの犬種情報でも、週1回のブラッシングまたはコーミングと、被毛によっては定期的なハンドストリッピングを案内しています。大型設備が必要になるため、サロンには犬種名と体重を正確に伝えます。
ほかのグリフォン系
プチ・バセット・グリフォン・バンデーン、グランド・バセット・グリフォン・バンデーンなども「グリフォン」を名に持ちます。それぞれ犬種標準、毛量、下毛、飾り毛が異なります。
購入時の血統書、マイクロチップ登録、ブリーダー資料で正式犬種名を確認し、「グリフォンだから同じ手入れ」と考えないことが大切です。ミックス犬では親犬種より、現在の毛の硬さ、密度、伸び方、皮膚の状態を優先します。
初回サロンでは正式犬種名、年齢、過去にバリカンを使った部位、希望する毛質を伝え、乾いた被毛を触ってもらってから方法を決めましょう。
ラフコートの日常ケア
硬いラフコートも放置すれば毛玉や蒸れが生じます。ブラシとコームで皮膚まで確認することが基本です。
週1〜2回を起点にとかす
家庭犬では週1〜2回を起点に、毛量と汚れに応じて調整します。ピンブラシまたは刺激の強すぎないスリッカーブラシで、毛先から少量ずつとかし、最後に金属コームを根元まで通します。
絡みやすい場所は次のとおりです。
- 耳の後ろ
- 首輪やハーネスの下
- 脇と胸
- 内股
- ひげと口周り
- 尾の付け根
表面だけをなでても、下毛に絡みが残ることがあります。コームが止まったら力で引かず、皮膚を手で支え、毛先側から小さくほどきます。固い毛玉へハサミを差し込むと皮膚まで切る危険があるため、プロへ相談してください。
顔の飾り毛を清潔に
ブリュッセル・グリフォンのひげと眉は犬種らしい特徴ですが、水、食事、よだれで湿りやすい部分です。食後は汚れを拭き、乾いた布で水分を取ります。ひげの根元に赤み、におい、べたつきがないか確認してください。
目の周囲は、被毛が眼球へ触れないよう整えます。涙が急に増える、目を細める、充血、濁り、目やにの増加がある場合は、毛だけの問題と決めつけず動物病院へ相談します。
短頭種であるブリュッセル・グリフォンは、暑さや高温の乾燥環境に注意が必要です。パンティングが強い、呼吸音が変わる、舌色が普段と違う場合は施術を中止します。
シャンプーは汚れで判断
固定の日数より、汚れ、におい、皮膚の状態で判断します。犬用シャンプーを表示どおりに使い、ひげ、脇、内股まで十分にすすぎます。
ワイヤーコートへ重いコンディショナーを多量に使うと、硬い質感へ影響する場合があります。ショーの質感を保ちたい犬は、製品をブリーダーや専門トリマーへ相談してください。家庭犬では見た目より、刺激を避けて皮膚と被毛を清潔にすることを優先します。
スムースコートのケア
スムースコートはカット工程が少なくても、抜け毛、皮膚、爪、口腔の管理が必要です。
ブラッシング中心でよい
AKCはスムースコートのブリュッセル・グリフォンについて、通常は週1回、換毛が目立つ時期はよりこまめなブラッシングと、必要に応じた入浴を案内しています。
ラバーブラシや柔らかい獣毛ブラシを毛の流れに沿って使い、抜け毛と汚れを取り除きます。同じ場所を強くこすると皮膚を刺激するため、赤みが出たら中止します。
短毛だから皮膚異常に気づきやすい一方、バリカンをかける必要はほとんどありません。ひげを整えるかは生活上の清潔と飼い主の希望で決めます。
しわ・耳・爪も見る
顔のしわや口周りは湿りを残さず、皮膚を広げて赤みやにおいを確認します。耳は入口を観察し、綿棒を奥へ入れません。頭を振る、耳を痛がる、強いにおいがある場合は受診します。
爪が伸びると歩き方に影響するため、床へ当たり続ける前に整えます。歯は犬用歯磨き剤で日常的にケアします。小型犬では歯周病の観察も重要で、口臭、出血、食べにくそうな様子があれば動物病院へ相談してください。
皮膚や被毛に合ったケア用品を選びましょう
シャンプーやブラシは、犬種・猫種や毛質、皮膚の状態によって適したものが異なります。刺激の強さや使用頻度にも注意し、無理のないケアを続けましょう。
プラッキングとは
プラッキング、またはハンドストリッピングは、ワイヤーコートの成熟した上毛を手で少量ずつ抜き、新しい硬い被毛の成長を整える技法です。
目的は毛質の維持
ワイヤーコートの上毛は成長し、成熟すると抜ける準備が整います。専門家は皮膚を支え、毛の成長方向へ少量ずつ抜きます。適切な時期と技術で行えば、硬い色のよい上毛を保ちやすくなります。
AKCのハンドストリッピング解説では、犬種名だけでなく実際の被毛が適するかで判断し、未熟な技術による処理は痛みや望まない結果につながると説明しています。
「毛を抜く」と聞くと痛そうですが、抜ける準備のできた毛を適切に処理することと、成長中の毛を力任せに引くことは違います。犬が鳴く、皮膚が赤くなる、出血する施術を当然と考えてはいけません。
クリッピングとの違い
クリッピングはバリカンやハサミで毛を皮膚の上から切ります。短時間で整えやすく、家庭犬の清潔管理、施術時間の短縮に向きます。一方、毛根から成熟毛を入れ替える方法ではないため、繰り返すと被毛が柔らかく見える、色が薄く見えるなど質感が変わることがあります。
| 方法 | 主な目的 | 向くケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ハンドストリッピング | 硬い上毛と輪郭を維持 | 適したワイヤーコート、ショー、質感重視 | 技術・時間・費用が必要 |
| ローリング | 少量ずつ成熟毛を定期的に抜く | 常に一定の上毛を保ちたい | 来店頻度と家庭管理が増える |
| クリッピング | 被毛を短く清潔にする | 家庭犬、時間短縮、高齢犬 | 元の質感へ戻すのに時間が必要 |
| カーディング | 柔らかい下毛や抜け毛を取る | ペットトリムの補助 | 皮膚を削らない技術が必要 |
どの方法でも皮膚の健康が優先です。ショーへ出ない家庭犬は、必ず全身をハンドストリッピングしなければならないわけではありません。
行わない方がよい場合
皮膚炎、傷、感染、強いかゆみ、痛みがある部位には行いません。高齢犬、持病がある犬、長時間の立位が難しい犬では、負担と目的を見直します。
以前からクリッピングを繰り返している被毛は、すぐに理想のワイヤーコートへ戻らない場合があります。急に全身を抜かず、被毛の周期と犬の負担を専門家へ相談してください。

サロン頻度の決め方
頻度は、被毛タイプ、選んだ技法、希望する長さ、家庭ケアで変わります。
ラフコートの目安
家庭犬のクリッピング中心なら、約6〜8週間ごとを起点に、目や口、足裏、排泄周りの伸び方で調整します。犬種クラブの案内でも、家庭犬のラフコートは2か月ほどを一つの目安としています。
ローリングで硬い上毛を常に保つ場合は、少量ずつ処理するため、より短い間隔で施術することがあります。全身のコートを一度に更新する方法は、仕上がりの段階があり、予定から逆算する必要があります。
毛の成長は個体差が大きいため、「必ず何週間」と固定せず、毛が指で抜ける状態、輪郭、皮膚、家庭でとかせる範囲で決めます。
スムースコートの目安
全身カットの定期予約は基本的に不要です。爪、耳、肛門周りなど自宅で難しいケアを、状態に応じて単品またはシャンプーコースで依頼します。
春秋など抜け毛が増える時期は、ブラッシング回数を増やします。皮膚を傷つけるほどレーキングせず、短時間で様子を見ましょう。
頻度を早めるサイン
- コームが根元まで通らない
- ひげに汚れやにおいが残る
- 目へ毛が入る
- 足裏の毛や爪で滑る
- 排泄周りが汚れやすい
- 耳や皮膚を観察しにくい
赤み、膿、強いにおい、痛み、急な脱毛は、トリミング予約を早めるだけでなく動物病院へ相談するサインです。
顔周りの安全管理
グリフォンらしい顔立ちを保つ作業は、眼や呼吸への配慮が欠かせません。
ひげと眉を残す
ラフコートでは、体の上毛を整えながら、ひげと眉で特徴的な輪郭を作ります。長さだけでなく、食事で汚れにくいか、眼へ触れないかを基準に調整します。
口周りへ食べ物が残る犬は、ひげを短くする、食器の形を変える、食後に拭いて乾かす方法があります。長いこと自体より、湿った状態が続くことが問題です。
ドライヤーの熱に注意
短頭種は高温多湿で呼吸に負担がかかることがあります。乾燥は低めの温度から始め、顔へ強風を当て続けません。パンティング、よだれの増加、ふらつき、舌色の変化があれば直ちに中止します。
高齢犬や呼吸器の問題がある犬は、施術前に獣医師へ相談し、短時間のケアや病院併設施設を検討してください。
サロン選びの質問
プラッキングを希望する場合は、「できますか」だけでなく経験と進め方を具体的に聞きます。
- 正式犬種と被毛タイプを識別できるか
- ブリュッセル・グリフォンの施術例があるか
- ハンドストリッピング、ローリング、カーディングのどれに対応するか
- 一回の施術範囲と所要時間
- 犬が痛がる、皮膚が赤くなる場合の中止基準
- クリッピングへ変更した場合の毛質への説明
- 顔、耳、足、排泄周りの仕上げ
- 毛玉や皮膚異常を見つけた際の連絡
「プラッキング」という同じ言葉でも、全身を一度に抜く、少量ずつ維持する、バリカンと下毛処理を組み合わせるなど内容が違います。希望を「ショーへ出す」「硬い質感を残したい」「家庭で清潔に保ちたい」と目的から伝えましょう。
料金は通常のカットより高く、時間も長い場合があります。事前に税込総額、追加料金、休憩、複数日に分けるかを確認します。
初回は全身を任せる前に、被毛診断と小範囲の施術を相談し、帰宅後の皮膚反応と犬の疲れ方を確認すると方法を調整しやすくなります。
自宅で難しいケアはプロへお願いする方法もあります
カットや爪切り、シャンプーなど、自宅では難しいお手入れを専門家へ任せることもできます。ペットの性格や体調に合わせて利用しましょう。
自宅での観察
施術の合間は、皮膚、被毛、呼吸、足元を短時間ずつ確認します。
ブラッシング時に、赤み、フケ、べたつき、しこり、マダニ、痛みがないかを見ます。プラッキング後は当日の軽い赤みだけでなく、翌日以降も炎症、かさぶた、強いかゆみが続かないか確認してください。
散歩後は硬い上毛へ草の種や小枝が付いていないかを見ます。足指の間、耳、ひげは異物が隠れやすい場所です。マダニを見つけた場合は無理に引きちぎらず動物病院へ相談します。
施術後に次の変化があれば記録し、サロンまたは動物病院へ相談します。
- 出血、膿、広がる赤み
- 皮膚をなめ続ける、強くかく
- 眼を細める、充血、目やに
- 呼吸が速い、咳、ぐったり
- 足を上げる、歩き方が変わる
季節と年齢で調整する
被毛ケアは一年中同じ内容に固定しません。暑い時期に短くする場合も、皮膚が透けるほど刈れば日差しや摩擦の影響を受けやすくなります。室温、湿度、水分、散歩時間を調整し、短頭種では特に熱中症を警戒します。寒い時期に長く残すなら、服やハーネスの下へ毛玉ができないか確認してください。
子犬は、足先、口、耳へ触れる練習を数秒から始めます。初回から長いプラッキングを行うのではなく、ブラッシング、爪、短いシャンプーなどで環境へ慣らします。被毛が成熟する時期には個体差があるため、月齢だけで抜き始めません。
高齢犬は同じ姿勢を保つ時間が負担になります。心臓病、呼吸器疾患、関節痛、視力低下などがあれば予約前に伝え、座位や横向き、短い工程、複数日への分割を相談します。若い頃の硬い毛質や輪郭を守ることより、清潔と短時間で終えられることを優先してください。
施術前に伝える情報
予約時には、正式犬種、被毛タイプ、前回の施術日、過去にバリカンを使った場所、皮膚病、服薬、苦手な作業をまとめます。参考写真は、全体を同じにする目的ではなく、ひげ、眉、体の長さなど希望部位を示すために使います。
当日は散歩と排泄を済ませますが、疲れさせるほど運動させません。咳、下痢、嘔吐、跛行、食欲低下があれば延期を相談します。施術後は、抜いた範囲、使用した方法、次回の目安、家庭でとかす部位を聞き、写真とともに記録しましょう。
グリフォンのケアのよくある質問
- グリフォンは全頭プラッキングが必要ですか?
-
必要ありません。スムースコートには通常行わず、ワイヤーコートでも家庭犬はクリッピングと下毛処理で管理できます。実際の毛質、皮膚、目的、犬の体力で選びます。
- プラッキングは犬に痛くないのですか?
-
抜ける準備のできた成熟毛を、皮膚を支えながら成長方向へ少量ずつ抜くのが基本です。成長中の毛を無理に引けば痛みます。犬が強く嫌がる、赤みや出血が出る場合は中止してください。
- バリカンを使うと毛質は戻りませんか?
-
柔らかく見える、色が薄く見えるなど変化することがありますが、戻り方は個体差があります。再びストリッピングへ移行するには時間が必要です。以前の施術歴をトリマーへ伝えてください。
- 顔のひげは毎回残すべきですか?
-
犬種らしさを出すなら残しますが、食事の汚れ、皮膚炎、眼への接触、家庭ケアを考え、短くする選択もできます。見た目より清潔と快適さを優先しましょう。
- どのくらいの頻度でサロンへ行きますか?
-
ラフコートの家庭犬は6〜8週間を起点に、ローリングはより短い間隔になることがあります。スムースコートは全身カットではなく、爪やシャンプーを状態に応じて依頼します。
まとめ
グリフォン犬のトリミングは、正式犬種と被毛タイプの確認から始まります。ブリュッセル・グリフォンのラフコート、スムースコート、ワイヤーヘアード・ポインティング・グリフォンでは必要な手入れが異なります。
ラフやワイヤーコートは週1〜2回を起点にブラシとコームで皮膚まで確認し、硬い上毛を保ちたい場合は専門家によるハンドストリッピングを検討します。家庭犬ではクリッピングと下毛処理も現実的で、ショードッグと同じ技法は必須ではありません。スムースコートは週1回ほどのブラッシング、必要に応じた入浴、爪・耳・歯のケアが中心です。
プラッキングは力任せに毛を抜く作業ではありません。被毛の成熟を見極め、皮膚を支えて少量ずつ行う専門技術です。犬が痛がる、皮膚に炎症がある、高齢で長時間の施術が負担になる場合は別の方法を選びます。毛質、清潔、皮膚、犬の体力を総合し、目的に合うケアを選びましょう。

